墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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旧弘前市図書館 青森県弘前市下白銀町

弘前市庁舎の東側に広場を挟んで庁舎側を向く、優美な建物がある。

 

明治39年(1906)に竣工した旧弘前市図書館。手がけた棟梁は、前回エントリの青森銀行記念館と同じく堀江佐吉(1845~1907)

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20年くらい前に弘前に来たことがあるのですが、この建物のことは印象に残っていました。 

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南側から。

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南東側から。2つの”塔”の間の背面側はL字形。堂々たるファサードと比べてしまうと、小ぶりな感じになりますが、細部まで丁寧につくられています。

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北側のようす。

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正面左の塔の下が玄関。

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くつを脱いでスリッパに履き替えます。そこにあった解説。

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旧弘前市立図書館
明治39年3月に竣工したこの建物は齋藤主・堀江佐吉らが東奥義塾の敷地に建てて市に寄付したものです。
設計・施工は堀江佐吉で、木造洋風・ルネッサンス様式を基調とした手法に和風様式が随所に取り入れられちえます。外観は石積基礎に白しっくい塗り壁、屋根はレンガ色の鉄板葺き、各階の軒先蛇腹・窓の形・屋根飾り・八角形の双塔を左右に配して柱型を強調するなど、洋風技法の水準の高さを感じさせています。
その後、昭和6年まで市立図書館として利用されましたが、図書館の移転にともなって堀江家の子孫に払い下げられ、市内富野町に移築されていたのを平成2年7月市制百周年記念施設のひとつとして、現在の場所に復原したものです。
一階は旧図書館の形態を復原して公開し、旧図書館の関連資料の展示を行っています。
二階は郷土の出版社の出版物を展示し、郷土の文学の動向や文芸団体の活動を紹介しています。またビデオ映像によって文学碑めぐりを放送しています。

 

いただいたパンフには、堀江佐吉について下記のように記されていました。

棟梁 堀江佐吉

津軽藩のお抱え大工・堀江家の5代目として生まれた堀江佐吉は、函館で洋風建築の基礎を学んだといわれ、その卓越した技能で青森銀行記念館、旧弘前市立図書館、旧弘前偕行社など斬新かつ華麗な洋風建築を数多く手がけました。

彼の精神や技能は、弟子達に引き継がれ、教会など多くの洋風建築として弘前の街に彩りを添えています。

 

玄関にある階段。階段があるのはこちら側の塔のみでした。

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見上げると、2階から先にも続いているのがわかります。

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八角形の塔内に螺旋階段があるので一階天井は複雑な形です。

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2階から3階へは折り返しの階段(立入禁止)

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廊下側から見た1階の階段。

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その背面側には婦人用の読書室。

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江戸時代から40年も経っていない時に、ここを見た人々は大感動したことでしょう。

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館長室もあります。

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2階では郷土弘前の文学についての展示。 

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奥から振り返って。

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「弘前の文学マップ」には、作家の碑がある場所などが沢山表示されていました。

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2階の窓から見えた弘前市庁舎と岩木山。

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よんばばさんからのコメントで弘前に”堀江工務店”があることを知ったので検索すると、平成3年に「ヨコヤマ堀江工務所」と社名変更したホームページに行き当り、堀江佐吉の肖像や建築中の旧弘前図書館の写真などを、興味深い物語りとともに見ることができました。

堀江大工の祖・堀江佐吉 | 有限会社ヨコヤマ堀江工務所|弘前市の工務店