別府には、前回のレンガホールの北西600mに、もうひとつの吉田鉄郎建築がある。
別府駅から徒歩7分の距離。
建物前に大きな広場があり、その前には大通り。建物が映える広さがあるが、敷地の2本の木が大きく育っていて正面の絵を撮るのは難しかった。

2本の大木の間から。

入口は2階に。3階の窓までを含む5連のアーチが壁から凹み、4本の列柱を形づくっているようにみえる。高さがあり幅もある階段も素晴らしい。

通りに面した説明板は簡素な内容。

別府市公会堂
(中央公民館・市民会館)
建設:昭和3年3月28日
復原:平成28年3月7日(竣工)
設計:吉田鉄郎(旧逓信省技師)
別府市を代表する近代化遺産として平成6年11月26日に別府市指定有形文化財に指定されました。
建物の1階部分を中央公民館、2・3階部分を市民会館として使用しています。
中央の3つのアーチ下に出入り口扉があり、その上がバルコニー状になっている。
ストリートビューの2017年の写真には後から付けられた無粋な庇があり、外壁もかなり傷んでいる。修復を経て建物は生まれ変わった。
https://goo.gl/maps/QQnRqbbVGnAiHneKA
工事は平成26年10月に着工し、同28年4月に供用開始されたとのこと。
https://www.city.beppu.oita.jp/gakusyuu/syougaigakusyuu/oshirase_renewal.html
階段の石の継ぎ目は1段ごとに互い違い。

扉は背が高く堂々としている。扉枠は石材。
壁面を構成する美しいスクラッチタイルは、一段ずつ交互に長いものと短いものが使われている。

そこから見上げた2階バルコニー。
下から。結構凹み幅がある。

アーチ部分のアップ。 やはりタイルは、長いものと短いものが交互に。

扉の前から通り側を。グーグルマップでは、建物の面積より前の広場の方が広いようにみえる。

正面入り口を横から。アーチ内側は煉瓦タイル1個分段差がつけられている。角の印象を和らげる効果か。

上記の右側にある窓。窓の下には例によって煉瓦がきれいに並ぶ。ここは27個。

右手から後ろへ回ってみる。

階段の右脇に、1階入り口がある。庇の感じは児童館と共通。

その上部にあった細長い窓。

上部はアーチでなくて三角タイプ。

さらに横へ。公会堂なので奥行がある。

真横(北側)から。大きな壁面積に沢山の装飾タイルが使われている。

この塔のような部分は階段室でしょうか。 登り降りしたかった…

上部には、人間の目のような意匠が。

装飾タイルを複雑に、しかし規則的に貼っている。

イタリアの教会を思わせるようにも。

引いた位置から。

屋根上の構築物も気になった。

背面側に近い部分。おしゃれな庇は役者さんの出入り口でしょうか。

反対側から。

西側の壁面も見事な煉瓦タイル貼りだった。

真向いから。中央は煙突でしょうか。

斜めの三連アーチ。ここは純粋な装飾でしょう。

こんなところにも”遊び”が。

建物の南側面。

南側の路地を回り込んだところにあった朽ちかけた建物。奥の方はしっかりした洋館だったように見えた。

周囲を一周して公会堂を巨木とともに。

照明の修復は(株)YAMAGIWAが手掛けていて、HPには建物内部の美しい写真が掲載されている。
https://www.yamagiwa.co.jp/case/182.html
スクラッチタイルは織部製陶(株)による。