前回の王墓山古墳見学後は東に丘を降りて足守川を渡って、2.5km東に鎮座する吉備津神社に参拝した。
旧山陽道沿い、南北から丘陵の裾が門のように迫る場所の南側。背後の山の上には中山茶臼山古墳(全長105mの前方後円墳。宮内庁が大吉備津彦命墓に治定)がある。
吉備津神社は、その大吉備津彦命を主祭神とする。
大吉備津彦命は崇神天皇の代に四道将軍の一人として山陽道に派遣され、温羅(うら)という悪者を平定し、吉備国に平和と秩序を築いたと伝えられている。
鮮やかな黄色の注連縄が架かる拝殿。
その奥、柵の向こうに色鮮やかな本殿が。
毎月1日の「ついたち参り」で昇殿参拝ができるそうだ。
本殿を外から。拝殿とともに室町期の1425年に足利義満が30年ちかくかけて再建した貴重な建物で国宝指定されている。
反りの美しい檜皮葺き屋根は、破風(切妻下の三角形)が連続する「比翼入母屋造り」というそうだが、全国唯一の様式なので「吉備津造り」とも呼ばれるそう。
本来の入母屋造りでは側面からは左右端の破風板は見えないが、屋根の稜線である棟をH字型にして、両側面から二つの破風が連なって見える意匠としている。
中央の通路を含む建物が、本殿の北に突き出している拝殿。 参拝後に東側の広場に出てきて建物全容を見ることができる。
11月初めの連休中だったので七五三の家族が幾組も。見ている側にも幸せが伝わってくるシーンだった。
本殿の東側には長さ400m近い回廊がある。天正年間(1573~1591)造営とされる岡山県指定文化財。
回廊の脇には、本殿基礎の石垣。
赤い色が気になりました。
回廊左手には、えびす宮や岩山宮が。
回廊は途中で西側に枝分かれする。
その先にあるのが御釜殿。
ブラタモリで放送された、鳴釜神事を受けられる場所。
神官と「阿曽女(あぞめ)」が二人で行う神事で、神官による祝詞の奏上中に、阿曽女が湯気の上がる釜で玄米を入れた器を振るが、その時に鳴り響いている音で吉凶を占う。
古代、大吉備津彦が刎ねた温羅の首は釜の下に埋めても唸り声を上げたが、夢枕に立った温羅の言葉どおりに温羅が寵愛した阿曽郷の阿曽媛に釜で米を炊かせると唸りがおさまって平和が訪れたという伝説にもとづいた神事。
神事に仕える阿曽女は今でも、鬼ノ城麓の阿曽の郷の娘が代々務めているそうだ。
http://www.kibitujinja.com/about/narukama.html
次の機会で受けてみたい。
回廊に戻ってさらに先へ。山側に三社宮。
端から振り返って。