五七五調で・・・
これだけ著名な画家の回顧展が同じ都市で集中開催されることは、世界的に珍しいことではないでしょうか。
●フェルメール展は2018/10/5~2019/2/3まで。@上野の森美術館
ヨハネス・フェルメール(1632~1675)の現存作35点のうち、9点(展示替え分含む)が来日。7点が並んでいたフェルメールの部屋は荘厳でした。最前列に前の人にくっつくようにして並んで鑑賞もしましたが、ゆっくりしか進まないのが逆にしっかり見られてよかったです。
日時指定事前予約制で一般2500円(当日2700円)
美術展もそのような価格の時代に。
初日に行ったのですが「音声ガイド付き(込み)」であったことに気づきませんでした。
●いざ、「視神経の冒険」へ、オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展は2018/9/26~12/17、一般1600円。@国立新美術館・乃木坂
入場口には「黄昏(クロッケーの試合)」1892年作の拡大立体版。 先週(11/24)の「美の巨人たち」で取り上げられた作品。番組では舞台美術の10層の書き割りがキーワードになっていました。
ピエール・ボナール(1867~1947)は、ゴーギャンの影響のもと結成された「ナビ派」の一員で「日本かぶれのナビ」と呼ばれるほどに浮世絵の影響を受けた画家。作品の多くは自邸室内や庭などにて、家族や親しい知人をモデルに描いています。
オルセーのコレクションを中心に、油彩72点、素描17点、版画・挿絵本17点、写真30点の計130点以上で構成される”大回顧展”でした。
再現性のうまさでは、空気まで描きこんだようなフェルメールや素早い一筆で姿を捉えてしまうルーベンスとは比較になりませんが、形や色に塗り込まれた親密な幸福感(と、裏腹の儚さ・・・)が心に残る作品群でした。
まとまったボリュームがあってボナールの世界にたっぷり浸れるということもあり、5つの展覧会の中で一番よかったです。
●ムンク展ー魂の共鳴する叫び(Munch:A Retrospective)展は、2018/10/17~2019/1/20まで、一般1600円。@東京都美術館・上野
エドヴァルド・ムンク(1863~1944)の故郷、ノルウェー・オスロ市立ムンク美術館の世界最大のムンクコレクションを中心に、約60点の油彩画を含む100点ほどで構成される大回顧展。
11/25(日)の16時前に行きましたが、入場で10分待ち位。「叫び」の部屋は、一列目は折り返しの行列でしたが、ベルトパーテーションまでは絵まで結構近いのにそれほど混んでいませんでした。
公式サイトの作品紹介が充実しています。
個人的には「太陽」や「星月夜」などの風景画や、「生命のダンス」などの大型作品に惹かれました。
エントランスで動画仕立ての展示が面白かったです。
●ルーベンス展ーバロックの誕生は、2018/10/16~2019/1/20まで。@国立西洋美術館・上野。一般1600円。
美術館サイトによれば「近年では最大規模のルーベンス展」
ペーテル・パウル・ルーベンス(1577~1640)は、17 世紀ヨーロッパを代表するバロックの画家で、大工房を構えて作品を量産し、外交官としても活躍したが、20代でイタリアに滞在した際に自らの芸術を大きく発展させている。
展覧会場には迫力のルーベンス作品だけでなく、古代ローマの彫刻やイタリア・バロックの画家の作品が展示され、ルーベンスとイタリアとの双方向の影響関係も見てとれるようになっていた。
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2018rubens.html
●最後に「全員巨匠! フィリップス・コレクション展」2018/10/17~2019/2/11 @三菱1号美術館・丸の内、一般1700円。
ピソゴッモにマティダンゴ、それともカホネにスロヤ ?
こちらは著名画家の一級作品ばかりをあつめたプライベートコレクション。
米国ペンシルベニア州の鉄鋼王を祖父に持つダンカン・フィリップス(1886~1966)が蒐集した近代美術作品はフィリップス・コレクションとして知られ、ワシントンの旧私邸は米国で最も優れた私立美術館の一つとなっています。
本展の展示は作家ごとや作成年代ごとではなく、購入された順に並んでいますが、副題どおりに”全員巨匠”。アングル、コロー、ドラクロワ、クールベ、マネ、ドガ、モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーガン、クレー、ピカソ、ココシュカ、ブラック、カンディンスキーやボナール、マチスの”秀作”ばかり75点が見られます。公式サイトが華やか。
https://mimt.jp/pc/gallery.html
レプリカ7点を展示したミニギャラリーは撮影可でした。
左から、ピエール・ボナール「犬を抱く女」1922年、フランツ・マルク「森の中の鹿 Ⅰ」1913年、ハインリヒ・カンペンドンク「村の大通り」1919年頃。
ピエール・ボナール「開かれた窓」1912年
ボナールは3点。
国立新美術館のボナール展を見た後に見ましたが、ボナールの中でも特に明瞭で温かい作品が選ばれているように感じました。
フィリップス・コレクションなど世界の「邸宅美術館」については、4年前に読んだこちらの本に詳しく取り上げられています(↓データが重いのでwifi環境推奨)