墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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綱坂 綱町三井倶楽部 かんぽ生命東京サービスセンター本館(旧逓信省簡易保険局庁舎) 東京都港区三田1・2丁目

三田の慶大で建築ツアーに参加したときに、敷地の西側に見事な坂(綱坂・つなざか)があった。そのときは下から見上げただけだったので、歩きに行った。

慶應義塾大学三田キャンパス界隈 - 墳丘からの眺め

 

こちらには文久3年(1863)頃の写真がある。 

幕末・明治期 日本古写真メタデータ・データベース-[レコードの表示]

 

上って行って振り返ったところ。

坂の西(右手)は綱町三井倶楽部、東(左手)はイタリア大使館。

綱坂 つなざか

羅生門の鬼退治で有名な平安時代の武士 渡辺綱(わたなべのつな)が付近に生まれたという伝説による。

 ちなみに三井倶楽部の敷地内には渡辺綱が産湯をつかったという井戸があるそう。

 

途中にイタリア大使館館員宿舎の門があった。

 

坂を上がっても、三井倶楽部の塀は続く。東辺で300mほど。

 

途中で右側は民間マンションに変わった。

 

通りに行き当たると三井倶楽部の建物と門があった。この界隈で最も標高が高いところ。

 

豪華で優雅な建物の設計はジョサイア・コンドル。竣工は大正2年(1913)

 

江戸期は島津氏の日向佐土原藩の上屋敷だった6000坪の敷地に、三井総領家第10代当主・三井八郎右衞門高棟が明治43年(1910)に設計を依頼、竣工後は戦中・戦後の一時期を除き三井財閥、三井グループの迎賓館として使われ続けてきている。

三井の迎賓館・綱町三井倶楽部:大正・戦前期|三井の歴史|三井広報委員会

 

ルネサンス様式を基調とした宮殿造りの本館は、煉瓦石混造スレート葺き地階付き2階建て、庭園側ベランダの張り出しはバロック、中央ドームの吹き抜けはビザンチンと様々な建築様式が用いられ、23部屋から成る内部では大理石はイタリア、シャンデリアはフランス、窓ガラスはベルギーなど各国から厳選された高級材が使われているそうだ。ロダンの彫塑、ターナー、ローレンス、ドービニー、ニコラス・マースの絵画もあるとのこと。本館に面した英国風庭園もコンドルの設計。

平面図や内部の写真はこちらの公式サイトにある。 施設紹介

 

三井グループ社員であれば結婚式で使えるとのこと。確かに20数年前に誰かの披露宴に招待されたことがあった。が、すっかり忘れてしまった。

 

窓や軒に施されたアーチが見事。車寄せ前の松が「和」の雰囲気を醸し出していた。

 

角の壁面は丸くカーブしていて、曲面に沿った窓・アーチも凝ったデザインになっている。

 

西側の角、塀の外に説明板もあった。

 

解説板。

 

解説によれば、優美な門は平成20年(2008)に復元されたものだった。

 

東京に現存するジョサイア・コンドルの建築はこれで6ヶ所目。

旧島津公爵邸(清泉女子大学本館)by ジョサイア・コンドル 東京都指定有形文化財 @品川区東五反田 - 墳丘からの眺め

三菱一号館・明治生命館 (外観のみ) 東京都千代田区丸の内 - 墳丘からの眺め

国指定名勝 旧古河庭園 東京都北区西ヶ原 - 墳丘からの眺め

重要文化財 旧岩崎家住宅 東京都台東区池之端 - 墳丘からの眺め

ニコライ堂(東京復活大聖堂教会) 重要文化財 千代田区神田駿河台 - 墳丘からの眺め

残るは御殿山の三菱の迎賓館、開東閣だが非公開。実はこちらも20数年前に披露宴に招かれて写真も撮ったはずだが見つからず・・・

 

綱町三井倶楽部の敷地の西側、解説板のある角を曲った先にも趣きのある坂があった。

 

振り返ったところ。右が三井倶楽部、左はオーストラリア大使館。

 

オーストラリア大使館の通用門(?)は古そうな門柱だった。

 

 坂の途中で振り返ったところ。三井倶楽部側は鉄柵越しに中の庭が見え隠れする。

 

坂の下に来ると歩道の左右に大木が並ぶ。

 

坂の途中に屋根のカーブが美しい日本家屋があった。

 

坂下側から。イチョウが色づくときれいだろう。

 

銀杏は結構落ちていた。

 

 

坂上の通りに戻る。

三井倶楽部と通りを挟んだ向かいにも、かんぽ生命東京サービスセンター本館(旧逓信省簡易保険局庁舎)の近代建築が残っている。

 

設計は逓信省で施工は大林組。竣工時期は大林組70年略史によれば昭和5年1月とあるが、昭和4年(1929)と記載するサイトが多かった。

 

四角い柱が上まで通っていて、三井倶楽部とは対照的に「直線的」

 

通りに面して100m以上の幅があるが、上から見ると「日」の字を横にしたようなプランになっていて奥行きもある。

 

正面で見上げると少し威圧的。関係者以外は入れない所為かも。

 

石段の両脇に石造りの球があり、和らいだ雰囲気をつくっていた。

 

その石段の上に車が寄せられるようになっていた。

 

直線を多用していても、軒下の帯や柱の側面などにそれが和らげられるような処理がなされていた。

 

西側の面。道に面して窓4つ分だけ長くなっていた。

 

上記の門の西に続く建物もモダン建築の香りがした。

 

門の前、道路沿いの果樹(花梨?)が沢山の実をつけていた。 

 

 お酒に漬けたり、ジャムにすると食べられるようだが、かんぽ生命のもの?

カリン(花梨/かりん)の選び方と保存方法や食べ方:旬の果物百科

 つづく。