墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

「発掘された日本列島 新発見考古速報 2015」展 @江戸東京博物館

5/30の11時ごろ、子供と江戸東京博物館へ出かけた。

前回5/5に「大関ヶ原展」を見に来たが、このときは予想外の待ち時間に退散した。

 

それとは対照的に今回はチケット売場には誰もいなかった(下の写真の右側) 全く混雑なし。

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「発掘された日本列島」展は平成7年度から毎年開催されていて今回で21回目。日本では毎年8千件近くの発掘調査が行われているもののニュースで報道されるものはごく一部なので、文化庁が主体となって「全国的に注目された発掘調査の成果」をより早くわかりやすく広めていくことに取り組んでいる。

 

自分が見たのは過去2回だが、いずれも見ごたえのある、かつわかりやすい展示だった。

発掘された日本列島2013 @江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

「発掘された日本列島2014 日本発掘」① 国宝 合掌土偶 @両国 江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

「発掘された日本列島2014 日本発掘」② 重文 人頭形土製品 @両国 江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

「発掘された日本列島2014 日本発掘」③ 今城塚古墳埴輪 @両国 江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

「発掘された日本列島2014 日本発掘」④ 新宿に生きた縄文人 @両国 江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

 

今年の東京展(江戸東京博物館)は5/30から7/20まで。その後下記の各県に巡回する。

8/1~9/6 富山県埋蔵文化財センター

9/19~11/1 栃木県立博物館

11/13~12/23 岡山県立博物館

2016/1/14~2/28 岩手県立博物館

 

東京展では江戸東京博物館に入場すれば(大人600円)、追加料金はかからない。 

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今回の目玉展示は栃木県下野市の甲塚古墳から出土した機織形埴輪(織る人も)および同墳丘に並んでいた人物や馬の形象埴輪群。ポスター写真がその人物埴輪。

 

会場には570点の出土品が展示されている。自分の行った時間帯では解説の方が常駐されていて貴重なお話を聞けた。

 

機織形埴輪は細かい破片をつなぎあわせてある。人物は胴体のみ残存。織機の全長は73.2cm。

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斜め前から。人物は女性であることがわかる。

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織機形埴輪は2つならぶ。

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弥生~古墳時代後期に一般的だった古いタイプの「原始機」と、結城紬の機織り機の原型とされる台を使うタイプの「地機」の2種類だそうだ。

 

昨年9月出光美術館「宗像大社 国宝展 -神の島・沖ノ島と大社の神宝」 を見たときにもミニチュア機織り機が展示してあった興味深かったが、こちらの埴輪の方がはるかに大きかった。

以下は購入した図録(1800円)27頁より。

 機織形埴輪の出土は全国初

24個体の形象埴輪のうち2個体は、女性が布を織っている様子を表したものです。機織形埴輪の出土は、全国で初めての例となります。また、織機はそれぞれ異なる型式のものを表現していることから、6世紀後半頃には既に構造の異なる織機が存在していることがわかりました。

埴輪群が古墳に配置される理由には諸説ありますが、甲塚古墳の場合は埴輪列の前方で多量の土器が出土しており、埴輪の前で土器類を用いら何らかの行為(祭祀か)が行われたと想定されます。織機型埴輪の出土理由について詳細は不明ですが。「古事記」において、機を織る行為は神聖なことという記述があり、甲塚古墳の被葬者が織機に関わる何らかの役割を果たしていたといえるかもしれません。

 

こちらは人物埴輪。特徴的な高い三角帽。左の一体は小刀を持つ。すべて男性。

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こちらは女性3体。中央の女性は円模様の服を着ている。

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円模様のアップ。円内に赤い顔料、外側に白い顔料が残る。

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ということは白地に赤い玉が施された服になる。下記下段のイメージではその色で復元されている。

何とモダンな。

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こちらの美豆良(みずら)の男性の背中にも白い顔料が良く残っていた。

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馬も2体。どちらも高さ1m以上ある。

右側の馬の方が装備品が豪華で被葬者の馬と考えられるそうだ。

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被葬者の馬でない方。輪形の鐙を装着し胸懸けに鈴がつく。馬にも白い顔料が残る。

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ということで、当初の色の彩色復元のパネル展示があった(被葬者の馬の方)

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これまで埴輪は多少の赤の彩色があっても基本は素焼きの色だと認識していたので、その考えを気持ちよく覆してもらえる展示内容だった。

 

壮観な埴輪列。機織型埴輪は男子3体と女子3体との間に置かれたいた。石室の位置は男子像の先(下の写真で右端)となる。

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甲塚古墳の全景写真。栃木県下野市にある古墳時代後期の6世紀後半の「帆立貝形前方後円墳

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甲塚古墳には2013年10月に訪れた。といっても日が暮れてから地元の方に「連れて行ったもらった」かたち。

そこからまさかこのような見事で貴重な埴輪が出るとは思わなかった。

 

つづく。