墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「古代の造形~モノづくり日本の原点」展 @三の丸尚蔵館・皇居東御苑

皇居東御苑にある三の丸尚蔵館で、宮内庁が管理する考古出土物の展覧会が開催されている。

 

それほど広くない展示室ではあるが、御物(ぎょぶつ:文化財保護法対象外)でなければ国宝・重文であろう名品ばかり数十点が出ている。

 

石・土(焼き物)・金属という素材でテーマ分けがなされており、素材の多様化は技術の歴史でもあったという流れにもなっているが、作品だけを見ていると、技術は変遷したのであって発展したのではないのでは、という気分にもなった。

上記のパネルの右側に、主な展示品の写真がある。

右上の石器は縄文期のもの(石川県穴水町比良遺跡出土)だが、今でも強いパワーを発しているように感じられた。左下の銅鐸(奈良県天理市出土:弥生期)は千年以上後の琳派のような見事な流水文が残る。その他は古墳時代の出土物。

 

女子頭部埴輪は仁徳天皇陵からの出土物。埴輪にしてはリアルな顔立ちで、4年前の展示を見た際も強く印象に残っていた。

 

中段の左は奈良県佐味田(さみた)宝塚古墳から明治14年に出土した家形文鏡。

背面に、竪穴式住居、平地式寄棟屋根の建物、高床式寄棟屋根の建物、高床式切妻屋根の建物の計4種類が微細に描かれている。

他に類例がない文様で建築史的にも貴重であり、古墳時代の首長居宅における建物群との関連も指摘されているそうだ。

http://www.kunaicho.go.jp/culture/shoryobu/syuzou-r04.html

 

別の案内ポスターにある埴輪は、応神天皇恵我藻伏崗陵(えがのもふしのおかのみささぎ:誉田御廟山古墳)から出土の朝顔形埴輪で、元は上部に逆円錐型の口がついていたもの。

 

展示室ではその隣に、倭迹迹日百襲姫命大市墓(箸墓古墳)出土の壺形埴輪も並べられていた。壺は焼成前から底に丸く孔が空けられていた。

http://www.kunaicho.go.jp/culture/shoryobu/syuzou-r11.html

 

非常に興味深かったのは百舌鳥陵墓参考地(御廟山古墳:5世紀中頃)から出土した囲形埴輪・家形埴輪。

両者はセットで出土し、囲形埴輪は長辺90cmにもなる。家の屋根には千木や堅魚木があり、”神社建築の源流”を知ることができる。

http://www.kunaicho.go.jp/culture/shoryobu/syuzou-r18.html

”家形”の妻側壁には赤く塗られた跡が残っている。

下は図録(2300円)から。

 

なんと扉の部分は可動式!

百舌鳥古市古墳群が世界遺産となったら、これらも出土物も”世界遺産”に含まれるのだろうか。 

 

ほかにも、歴史的価値だけでなく美術品としての価値も高い出土品を間近に見ることができる。

限られた機会だと思うので、考古学ファン以外の方もお見逃しなく。

 

12月10日まで開催中。9時~15時半開館、月曜・金曜が休館(12/4・8は開館)

地下鉄大手町駅のパレスホテルの出口(13b)が最寄りで、大手門から皇居東御苑に入ってすぐ。

 

12月2日から10日にかけては”平成29年秋季皇居乾通り一般公開”が開催されるので、それに合わせて三の丸尚蔵館も見学されるとよいかと思います。