墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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堀畑1号墳 兵庫県養父市上野

前回の観音塚古墳の南東1.9kmには堀畑(ほりはた)1号墳。山陰本線の養父(やぶ)駅から徒歩15分。

 

6:30AMだったので、里山の森公園駐車場へのゲートは閉鎖。

 

徒歩で進んで行くと、大きな土盛りが!

 

回り込んでいくと、南東側に開口部。

詳細な解説板があります。

兵庫県指定文化財 堀畑1号墳
指定年月日:平成22年3月19日
指定面積:4,600㎡
所在地:養父市堀畑
所有者:養父市
この場所には昭和4年から平成5年まで兵庫県立畜産試験場但馬分場があり、古墳の周囲は開墾されて但馬牛の牧草地となっていました。
堀畑1号墳は、谷間地峠の東側に位置し、北・西・南の三方を山に囲まれた袋状の地形の中に立地しています。古墳は、低い丘陵に1基だけ単独で造られた円墳です。大きさは直径38m、高さは北側で8.4mあります。古墳時代後期では、但馬地域で最大級の古墳です。
古墳の内部には、医師を組み合わせて造った横穴式石室があります。石室の入口は南東方向に開きます。石室の大きさは全長11.7mで、玄室は長さ4.7m、幅2.3m、高さ3.8mです、そして天井には長さ4mの巨石1枚を置いています。石室の規模は但馬地方で第4位です。
古墳が造られた時代は、発掘調査の結果から7世紀前半の早い時期、推古天皇や聖徳太子が活躍していた時代であると分かりました。
堀畑1号墳は、石室の規模、配石方法などが、3㎞北の養父市大藪にある塚山古墳と類似しています。これらの古墳や禁裡塚古墳、西ノ岡古墳などは円山川中流域を支配した豪族の墓です。
堀畑1号墳は、大藪にある大型の横穴式石室をもつ古墳とともに、兵庫県を代表する古墳です。その規模は、大和政権を支えた蘇我氏、阿部氏、巨勢氏などの有力豪族の古墳に匹敵するといわれています。
平成23年3月 養父市・養父市教育委員会

 

大きな開口部です。

 

墳裾の説明板。

堀畑1号墳 横穴式石室
■横穴式石室
横穴式石室は、古墳の内部に石を積み上げて造った死者を埋葬するための部屋です。考古学では死者を埋葬する部屋を玄室とよび、そこに至る通路を羨道とよんで区別しています。
堀畑1号墳の横穴式石室は全長11.7m、玄室は長さ5.7m、幅2.3m、高さ3.8mの大きさです。奥壁・側壁はともに3段に石を積んでいます。天井石は長さ4mもある巨石で、1石だけで玄室の天井を造っています。
通路となる羨道は、玄室との境にあたる玄門部が幅・高さともに最も低くなり、入口に向かって徐々に天井が高くなります。これは但馬地方の石室に多い特徴です。壁面は長方形の石を横積みにしています。
平成17年に発掘調査を開始した時は、石室の半分以上が土砂で埋まっていました。400年以上に渡って石室が埋没していた結果、大変良好な状態で保存されてきました。このために今、私たちが石室を見ることができます。
■使用石材
横穴式石室の壁面や天井石には、角礫凝灰岩と礫岩の2種類の石材が使われています。どちらも公園内を流れる尻木谷川の上流で露頭が確認できます。つまり古墳の南側にある山側から石材を運搬し、さらに石を積み上げて石室を造っています。機械のない時代に人力だけで多くの石材を自由に動かすことができる特別な技術がありました。
石材は2億年前の土砂が堆積して形成された岩石で、丹波竜の化石を同じ時代のものです。この付近でも丹波竜が発見されてほしいものです。
平成23年3月 養父市・養父市教育委員会

近辺の古墳の石室規模比較表も(文字起こし略)

 

玄門に施錠された柵があって、玄室へは入れませんでした。

 

奥壁の巨石。この上にもう一段あるはずですが。

地面すれすれからですが、天井までは写らず。

 

奥壁を背にした写真は説明板から。


柵を背にして。


平家蟹さんのサイトで、見事な石室の写真が見られます。公園管理室で鍵を借りられることも知りました…

古墳のお部屋ブログ館 堀畑1号

 

解説板は3枚もありました。

堀畑1号墳 古墳の形状
■古墳の外形
堀畑1号墳は、平坦な丘陵の上にお椀を伏せたような形で、小高い山のようにみえます。しかしこれは、すべて人間が人工的に造ったもので、古代の豪族のお墓です。直径38m、高さは北側で8.4m、南側は5.2mを測る大きな円墳です。古墳の形状は、上部が急傾斜であるのに対して、下部は緩やかな裾拡がりの斜面になります。また古墳の周囲には、幅2.5mの浅い溝をめぐらせています。そして古墳の中心が、横穴式石室の玄室の中心と一致するように計画的に造られています。
■古墳を覆う列石
現在は土に覆われてよく分かりませんが、古墳の斜面には、石を並べた列石が2重に、しかも斜面の傾斜にそって2段に造られています。列石は外側が直径27m、内側が直径22mあります。
古墳の北側では、石垣のように丁寧に石を積み上げています。しかも2列の列石は、下部を古墳の盛土の中にしっかりと埋め込んでいます。古墳の内部に埋め込まれた列石を墳丘内列石と呼びます。堀畑1号墳の列石は典型的な墳丘内列石として大変貴重です。内側の列石から下側は古墳斜面の傾斜が緩く、上側は急傾斜になります。列石を境に勾配が変化しています。
列石をもつ古墳は、但馬地方で多く発見されています。列石が2重にめぐる古墳は、養父市を中心に分布しています。堀畑1号墳は、7世紀に盛行する2重列石のルーツとなる可能性があります。
平成23年3月 養父市・養父市教育委員会

 

古墳に隣接してゲートボール場。

 

墳丘を背面から。墳頂部の丸さが印象的。

 

墳頂に上がらせていただきました。目の前は国道9号線。

 

西北西側、観音塚古墳の方向。

 

東側。奥の山裾に円山川が流れています。右が上流、すぐ先は朝来(あさご)市。