前々回のつづき。
旧古河庭園から飛鳥山公園までは徒歩で10分強と近い。
「一里塚」のすぐ先、駐車場の隣に公園入口があった。
飛鳥山は江戸時代に徳川吉宗が享保の改革の一環として花見の行楽地として整備し、明治6年には上野公園とともに日本最初の都市公園に指定された。現在でも桜の名所でその数は約600本。総面積は7.3ha(73,000㎡)なので六義園の8.7haよりは小さい。
公園といっても六義園や旧古河庭園のような周囲を囲われた「庭園」ではなく、噴水広場公園や児童公園、3つの博物館と旧渋沢邸敷地がある。旧渋沢邸敷地内には古墳(飛鳥山1号墳)も残っている。
上野公園(53ha)に比べ広さは7分の1ほどになるが、雰囲気は似ているように思う。
飛鳥山3つの博物館の公式サイトにある見取り図がわかりやすかった。
旧渋沢家飛鳥山邸の解説版。
国指定重要文化財(建造物)
旧渋沢家飛鳥山邸(晩香廬:ばんこうろ・青淵文庫:せいえんぶんこ) 北区西ヶ原2-16-1
飛鳥山公園の南側一帯には、日本の近代経済社会の基礎を築いた、渋沢栄一の自邸が所在していました。現在、敷地は飛鳥山公園の一部になっていますが、旧邸の庭園であった所は「旧渋沢庭園」として公開されています。
渋沢栄一は明治34年から昭和6年に亡くなるまでの30年余りをこの自邸で過ごしました。当時の渋沢邸は現在の本郷通りから「飛鳥山の3つの博物館」に向かうスロープ付近に出入り口となる門があり、邸内には、和館と洋館からなる本邸の他、茶室や山形亭などの建物がありました。残念ながらこれらの建物は昭和20年の空襲で焼失してしまい、大正6年竣工の「晩香廬」と大正14年竣工の「青淵文庫」のみ、「旧渋沢庭園」内に現存しています。「晩香廬」は、渋沢栄一の喜寿の祝いとして、「青淵文庫」は傘寿と子爵への昇格の祝いとしてそれぞれ贈呈されたものです。どちらの建物も大正期を代表する建築家の一人で、清水組(現清水建設)の技師長を務めた田辺淳吉が設計監督しています。当時の世界的なデザイン・美術の運動の影響を受けた建築であることが評価され、平成17年。「旧渋沢家飛鳥山邸(晩香廬・青淵文庫)として二棟が重要文化財(建造物)に指定されました。
平成19年3月 東京都北区教育委員会
重要文化財の晩香廬・青淵文庫は渋沢資料館(入館料300円)とセットで中に入ることができるが、この日(10/3)は運のいいことに無料開放日(次回は11/8)
まずは青淵文庫へ。
以下は公式サイト施設概要より。
青淵文庫(せいえんぶんこ)は、渋沢栄一の80歳のお祝いと、男爵から子爵に昇格した祝いを兼ねて竜門社(当財団の前身)が寄贈した鉄筋コンクリートの建物です。1925(大正14)年の竣工で、栄一の書庫として、また接客の場としても使用されました。
渋沢家の家紋「丸に違い柏」に因んで柏の葉をデザインしたステンドグラスやタイルが非常に美しい洋館です。
当初収蔵されていた「論語」をはじめ多くの漢籍は、1963(昭和38)年、渋沢家から東京都立日比谷図書館に寄贈され、現在は東京都立中央図書館に所蔵されています。
渋沢史料館開館日の10:00~15:45に公開をしています。
「青淵」という雅号は1858(安政4)年ごろ、当時渋沢栄一が住んでいた家(現・埼玉県深谷市)の下に淵があり、淵上小屋と呼ばれていたことにちなんで、従兄の尾高惇忠によってつけられたとのこと。
外側からもステンドグラスがよくわかる。家紋をモチーフにしたタイル装飾も見事。
回り込んでいった先の入口(右側ドア)
階段室と閲覧室の2部屋は撮影可だった。
カーブが美しい階段。
複雑な模様の手すり。
照明器具もよく見ると凝ったつくり。
ガラスに映る夕日の影が、オリジナル模様のようだった。
閲覧室。
右上の「青淵文庫」の扁額は、渋沢栄一の揮毫。
内側から見たステンドグラス。
内壁に埋め込まれた「電気ストーブ」
ヒーターと蒸発皿があってスチームの機能もあったとのこと。
腰板部分の浮き彫りも見事。
外に出て、芝生庭の端から見た全景。
公園側からみた建物裏側(北側) 右の半円筒が階段室。
もう一つの重文建物、晩香廬。
以下も公式サイトより。
晩香廬(ばんこうろ)は、渋沢栄一の喜寿を祝って現在の清水建設(株)が贈った洋風茶室です。1917(大正6)年の竣工で、丈夫な栗材を用いて丹念に作られ、暖炉・薪入れ・火鉢などの調度品、机・椅子などの家具にも、設計者の細やかな心遣いが見られます。
晩香廬は内外の賓客を迎えるレセプション・ルームとして使用されました。
青淵文庫とともに、国の重要文化財に指定されています。
渋沢史料館開館日の10:00~15:45に公開をしています。
靴を脱いで中へ。内部撮影は不可。
上記にあるとおり家具調度品のデザインが見事で、全体に包み込まれるような心地よい空間になっていた。
円形カーブの出窓。
こちらは角張っている方の出窓。
資料館の方も無料だったので(とはいっても普段も300円)、せっかくなので行ってみた。
つづく。
※追記 関連エントリのリンクをまとめました。