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墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

求道会館 東京都文京区本郷

迎賓館前庭公開を見た11/3は、東京文化財ウィークの一環で本郷にある求道会館(きゅうどうかいかん)も特別公開があったので行ってみた。

最寄駅の東大前は、四ッ谷駅から南北線で4つ目と意外な近さだった。

駅からは、本郷通りから言問通りへ入って西片2丁目の交差点を南東に100mほど。

 

面している道が狭いのでなかなか全景をとらえにくい。

竣工は1915年(大正4年)、設計は武田五一

 

前面の柱は断面が楕円形。

 

建物左側に説明板があった。

東京都指定有形文化財(建築物)

求道会館 一棟

所在地 文京区本郷6-20-5

指定 平成6年3月22日

浄土真宗大谷派の僧侶であった近角常観(1870~1941)が、大正4年(1915)11月に、広く信仰を説く場として建築した建物である。

設計はヨーロッパ近代建築を学び、その日本への定着を試みていた建築家・武田五一(1872~1938)であった。

建物の規模は地上2階、建築面積307.470㎡。レンガ造りで、屋根は石綿板葺きである。

建物の内部正面には純和式の白木造りで銅板葺屋根の六角堂が配され、その後方の壁面に大アーチの石膏レリーフが描かれている。一階は木製の長椅子式、二階はギャラリーで畳敷に会衆が参列する形式である。また「床の間」付の畳敷の小会堂もあり、様式に和式の要素を取り入れ、独特の内部空間をつくりあげている。小屋根は、木材を用いて鉄骨式に組み立てた当時の最新式の構法であり、この小屋組は日本最初の試みである。

本建築は、ヨーロッパの教会堂の空間構成を基本的に踏襲しながら、要所に伝統的な日本の社寺建築のモチーフを用いた独特な様式を伝えるとともに、当時の最新式の構造を有する建造物で、建築家武田五一の円熟期の代表的作品の一つに数えられている。

平成6年12月20日建設 東京都教育委員会

 

武田五一 - Wikipediaによれば、 「関西建築会の父」とも言われる武田五一は欧州留学後にアール・ヌーボーやセセッションなどのデザインを日本に紹介した。京都や大阪を中心に多くの作品を残しただけでなく、現在の京都工芸繊維大学図案科や京都大学工学部建築学科を創立、神戸大学工学部の設立にも関与した。

旧勧業銀行本店(1899年、現・千葉トヨペット本社・妻木頼黄と共同)、名和昆虫研究所記念館(1907年、岐阜市)、山口県庁舎(1916年・妻木頼黄大熊喜邦と共同)、五龍閣(1921年、京都市)、藤井斉成会有鄰館(1926年、京都市)などの建物や、大阪市電気局大阪市営地下鉄シンボルマーク(1933年)も手掛けている。

 

 

施主の近角常観(ちかずみじょうかん)は、若き日の欧州留学の体験を踏まえ、青年学生と寝起きを共にして自らの信仰体験を語り継ぐ場として求道学舎を開いた。

 

会場ではお孫さんにあたる建築家の近角氏から直接お話を伺うことができた。30分で一回の解説をこの日何回も繰り返したおられたよう。

祖父の常観氏がここで何を話されていたか(悩んでいるときに夢に阿弥陀如来が現れたというお話です)や建築構造の興味深い解説で、あっと言う間の30分だった。

もともとの建物が講話を聴くための「会堂」であるので、声がよく届くように造られているという建物の効果も実際に体験できた。

 

入ってすぐの正面に、檜造銅板葺屋根の六角堂がある。内部には阿弥陀如来。壁面に大アーチの石膏レリーフがあり、外側が黄色、内側がピンク色に薄く塗られている。

 

六角堂の前、舞台の上に講演台があり、その場に立たたせていただくこともできた。

通常の教会堂よりは小さいサイズであり、聴衆との距離が近い。

常観はこの場で聴衆一人ひとりとコンタクトを取るように話をされたとのこと。

現在この会場ではコンサートも行なわれるが、あるバイオリニストは音がきちんと戻ってくることに感動したそうだ。

 

1階は木製の長椅子式、2階はギャラリーで畳敷に会衆が参列していた。

 

が、現在の2階は板の間になっていた。

 

5連の窓の中央には菩提樹の幹。

 

そこから枝が左右に続く。こちらの窓には鳥も描かれている。

 

2階の手摺は卍の意匠だが、それを支える三角の構造体もよく見ると鳥の意匠。

鋳型ではなく、鉄棒を曲げて作っている。

 

見事な小屋組み。最小の部材で大きな空間を支えられるように考えて造られているが、それが端正な機能美を醸し出している。

それでいて冷たい感じはなく逆に心地よい空間になっているのは、六角堂の存在や壁の色彩、そして細部の意匠が静かに調和しているからか。

 

2階奥の床の間がある和室。

 

床の間や窓の腰の高さ、暖炉などは、洋室を想定して設計したからであるとのこと。

 

暖炉は「マッキントッシュ」の様式。日本の意匠の影響を受けたマッキントッシュは暖炉のデザインに着物の意匠を反映させた。その意匠が日本に逆輸入されている。

 

すっきりしているが斜めのラインが「新しい」雰囲気のデザイン。

 

窓からは隣の住居棟(これも武田五一の作品・非公開)が見えた。

 

建設に際し予算に限りがあったので機能だけでなくコストも考慮されている。

2階を支える鉄の柱はなんとガス管だった。

 

 先日ガスミュージアムで見たものと同類か。

くらし館常設展示 @GAS MUSEUM がす資料館 東京都小平市 - 墳丘からの眺め

 

1階の奥は、普段も非公開の応接室。照明や天井は2階と共通していた。

 

たっぷり堪能させていただいて外へ。煉瓦タイルはやはり「教会」のように見える。

 

2002年に約5億円の費用をかけて半解体修理が行なわれていた。

 

 案内板に次回一般公開日は11月28日(土)~毎月第4土曜日とあった。

 

 求道会館の斜め向かいは、あの鳳明館の別館があった。

本館の方はこちら。

鳳明館、炭団坂、朝陽館本家 本郷の木造旅館と坂 - 墳丘からの眺め

 

風情のある、宿の入口。

 

門の前は、緩い下りがはじまる二股道だった。

 

二股左側の道。

 

二股右側は鳳明館の建物がリズミカルに続く。

 

下から見上げたところ。ゴツゴツした壁にも味わいがあった。