墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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大坊古墳 熊本県玉名市玉名字出口

大坊古墳は、前回の永安寺東古墳から南西に700m弱にあります。

 

やはり、集落の背後の丘の斜面に立地。


急階段を上がって振り返って。

 

施錠されている石室入口前には複数の解説が。

 

大坊(だいぼう)古墳の解説。

国指定史跡 大坊(だいぼう)古墳
昭和52年2月17日指定
大坊古墳は6世紀前半から中頃に築かれたと考えられる装飾古墳で、菊池川とその支流繁根木川との間に形成された玉名平野を望む丘陵の南斜面に位置しています。
全長約50mの前方後円墳で、後円部に横穴式石室が設けられています。玄室(遺体を納める部屋)の手前に前室を有する複室構造になっています。
石室は安山岩割石を小口積にして持ち送ったドーム状の構造になっていて、天井は幅の広い板状の石数枚で覆われています。玄室のいちばん奥には石屋形(開かれた棺)が設けられています。
石屋形の内壁三面と前面、前室・玄室の入り口や扉石(玄室に保管)の前面等には、赤・黒・青(灰色)の顔料で連続三角文に円文を配する壁画が描かれています。
この古墳は、熊本の装飾古墳の中でも保存状態が良く、出土品とあわせ、すぐれた装飾古墳のひとつとして重要なものです。
平成21年10月 玉名市教育委員会

 

石室の実測図部分。

 

石屋形奥壁の絵の部分。

 

周辺古墳などの解説。

〇装飾古墳とは
石室や石棺などに図形・絵画が描かれたものを「装飾古墳」と呼び、全国に約660基があります。その半数以上が九州にあり、熊本県は全国最多で特に菊池川流域に約120基が集中し、ここ玉名市ではその3分の1にあたる30基が確認されています。
◎描かれたもの
装飾の題材には円文・同心円文・三角文・菱形文・直弧文・蕨手文などの図形のほか、実在のモノを表現した大刀や弓・盾・矢筒・甲などの武器、船、楽器、人や馬などの動物があります。描く方法には浮彫・線刻・彩色があり、色は赤が最も多いものの、黄・青(灰)・黒・緑・城など様々で、時には複数の色が多彩に使い分けられています。
△熊本県の装飾古墳
装飾古墳は熊本県の古墳文化の特色です。九州で最も古い装飾古墳は5世紀初めの八代・天草地域にみられ、鏡や大刀・甲などが浮彫りされています。その後北へと広がり、宇土半島から熊本平野にかけての地域では直弧文などの呪術的な文様もみられるようになります。6世紀になると菊池川流域を中心として三角文や円文・菱形文などが彩色で描かれるようになり、この伝統はさらに福岡県、佐賀県、大分県へと広がっていきます。
◇菊池川下流域の特色
玉名市には大坊古墳、永安寺東古墳・永丹治西古墳の他、石貫穴観音横穴や石貫ナギノ横穴群などっ有名なものが多く、いずれも国の史跡に指定されています。装飾は主に三角文や円文などの図形文様が中心ですが、人物や馬、船が描かれたものもあります。永安寺東古墳では赤の三角文・円文と共に馬や船を見ることができ、その他石貫ナギノ横穴群では船の線刻と刀の浮彫、石貫古城横穴群と富尾原横穴群では船と人物の線刻が描かれています。熊本~宇城地方や筑後地方など、装飾古墳が集中する地域ではそれぞれ直弧文や同心円文など主になる題材や色使い、描かれる場所が異なっており、一口に装飾古墳といっても独自の地域色を有しています。こうした個性から1400~1500年前の九州に生きた人々の死者や黄泉の国へ対する”想い”を感じ取ることができるのではないでしょうか。
菊池川流域では赤で描かれる三角文と円文が主流で、この地域のシンボル的な図形だった可能性があります。円文は鏡、同心円文は太陽や的といった意味を、三角文や直弧文や鏡、甲、盾などの文様から生まれた辟邪の意味を持つものと考えられています。いずれにしても、死者の部屋である石室内に葬られた黄泉の国の住人を外部から侵入する邪なものから守るため、また荘厳化するために描かれたものと考えられています。

 

周辺地図の部分。

 

副葬品の写真も。

石室内からは、金製の垂飾付耳飾・金環・勾玉などの装身具、鉄製の刀・刀子(小刀)・鏃(矢じり)・鉾などの武器、杏葉・鐙などの馬具、須恵器・土師器の土器類が出土しています。
これらの出土品は、玉名市指定重要有形文化財にたっており、一部が玉名市歴史博物館こころピアに展示してあります。
この保存施設は、土地所有者の方のご理解とご協力により昭和54年に完成しました。
見学を希望される方は下記までご連絡ください。

 

実は、事前に玉名市教育委員会文化課に見学について尋ねたところ、ご案内いただけるとのことで、近くの集会所の前で待ち合わせていたのでした。

 

最初の扉の先の通路。

 

その先で、ガラス越しに石室内を拝めました。

 

ズームして。うまくピントが合わず。


スマホカメラで大きな三角文が! リアルのオーラを感じました。

やはり実物は、大感動でした。

 

下記は、熊本県立装飾古墳館でのレプリカ展示から。

国指定史跡 大坊古墳 6世紀
玉名平野のほぼ中央部、菊池川右岸の丘陵上にある前方後円墳である。後円部南側に入口をもつ横穴式石室がある。石室は安山岩の割石を小口積みにして造り、奥壁にそって石屋形が設けられている。
石室の各所に赤・黒・灰で正三角形を基本として描かれた図柄は、みごとである。壁面を5段に分け、各段に三角形を上下たがいに配列し、赤と灰で厚く塗り分けている。さらに2段目と4段目には円文が3個ずつ描かれている。昭和38年に調査の際、石室から金製垂飾りのある耳飾・真珠玉・めのう製勾玉・直刀・鉄剣・鉄鉾・鉄斧・杏葉・鐙など多くの遺物が出土している。

 

玉名市のサイトにも写真があります。

大坊古墳|玉名市

上記には、年に2(10月・3月)に一般公開を行っていることと、「見学を希望される場合は、見学予定日の1ヶ月前までに文化課へお問い合わせください」との記載があります。