この日の宿泊は、国際ホテル宇部。その目の前に、建築家・村野藤吾の傑作と言われる「宇部市渡辺翁記念会館」があった。
このホールを実際に見たい、というにも旅の目的だった。
が、何かのイベントで正面玄関前がステージとなっていて入れない。
出店の人などに聞くと、隣(奥)に事務所があるという。
訪ねていくと、職員の方々がいらして内部を見学させていただけるという。これはよかったと思ったところで、「どちらからおいでですか」と聞かれ「千葉県です」と言ったとたんにみなさんの顔が曇った。市内在住者以外はコロナ対策で入れないとのことだった。
あと一歩のところにいたのだが仕方がない。再訪せよとのことでしょう。
ストリートビューで内部を見ることができました。
市のサイトによれば宇部市渡辺翁記念会館 は、宇部市発展の基礎を築いた渡辺祐策翁の遺徳を記念して、翁の関係した7事業各社の寄付を得て1935年10月着工、1937年4月に竣工(供用開始7月)
設計は村野藤吾(1891~1984)で、村野自身が「私の出世作」と話していた作品。
記念会館の設計を担当したきっかけは、そごう百貨店の鉄骨部門を請け負った松尾橋梁の松尾社長が記念事業委員会の一人、俵田明(沖ノ山炭鉱社長、後の宇部興産社長)に村野を推薦したことに始まるとのこと。
記念会館に始まって1953年までの間に、宇部銀行(現旧宇部銀行館)、宇部窒素工業(現宇部興産ケミカル工場事務所)、宇部油化工業(現協和発酵)、宇部興産中央研究所、宇部興産事務所が完成、さらに宇部市文化会館は1979年竣工、宇部での最後の仕事は1983年竣工の宇部興産ビルとなるそうだ。
目黒で建築展を見たのは5年前。
目黒区総合庁舎も村野作。
内部は見れなかったが、たまたまホテルの部屋から、記念会館が良く見えた。
夜も。
早朝、踏切の光で、すぐわきを宇部線が通っていることを知った。