新聞で、朝日カルチャーセンター主催の建物見学イベントがあることを知り、2月25日に参加した。
見学対象は、遠藤楽(らく)が設計した片瀬山幼稚園。
遠藤楽の父、遠藤新(あらた)はフランク・ロイド・ライトの日本人弟子として、ライトとともに池袋の自由学園明日館を設計している。
重要文化財 自由学園 明日館 by フランク・ロイド・ライト / 遠藤 新 東京都豊島区西池袋 - 墳丘からの眺め
3年前、遠藤新が設計した葉山の加地邸が公開され、見学して感銘を受けた。
片瀬山幼稚園はそのご子息の設計だが、楽もライトに直接学んでいる。
こちらのサイトWright in Japanに、楽は父・新が亡くなった後の1957年に渡米してタリアセンでライトから直に学んだとある。代表作は婦人之友社、自由学園図書館など。
見学会の講師はなんと遠藤楽のご子息でやはり建築家の遠藤現(げん)氏。
藤沢駅に集合して路線バスで片瀬山へ向かい片瀬中学校前で下車。中学校に沿って高級住宅街を進むと幼稚園に到着。
「学校法人ボローニア楽園・片瀬山幼稚園」の表札があった。
片瀬山幼稚園は三井グループの学校法人が片瀬山の分譲地の家族のために昭和47年(1972)に竣工したが、2014年に閉園が決まり今年2017年春に取り壊される。
閉園の理由は、建物の耐震数値が東日本大震災後の基準に少し足りなかったことと、地域の高齢化で地元から通う園児が減ったからだそう。
閉園後には土地を購入した市が地域の集会所を新たに建てることになっている。
朝日新聞デジタル:鵠沼らしさ 街ぐるみで - 神奈川 - 地域
靴を抜いで玄関ホールへ入る。内側から見た様子。
玄関ホールは、そのまま園庭に抜けている。
玄関ホールの左右に遊戯室と教室への入口がつく。天井の灯りは六角形に窪んでいた。
園庭側から見た玄関ホール。
園庭から見た建物。妻の部分の窓は自由学園の建物のような印象。
緩い傾斜の大きな屋根が拡がる。
フランク・ロイド・ライト(1867~1959) - Wikipediaの後半期の建築様式にあたる「ユーソニアン様式」との解説があった。
軒先は軒下からカーブがついた処理になっていて柔らかい感じ。
軒下の”くびれ部”?
敷地は丘の斜面に立地している。園庭の先は坂道。
遊戯室に入る。ロフトのような2階部分があるが、吹き抜けの大空間となっている。
見上げたロフト。中央左右の線が切妻屋根下の最上部になる。
ロフトの下にはこの春卒園する園児たちのロッカーがあった。
三角形がベースの床板。
配布された資料で、建物平面の基本プランが3本のグリッドに基づく六角形(三角形?)となっていることがわかる(竣工時の平面図)
遊戯室、玄関ホールあたりのアップ。
上図の左下になる壁。六角形がベースなので壁が立ちはだかることがなく、奥行きが人を受け止めるようなやさしさがある。
卒園式の練習用か。これは泣くでしょう。
立派な雛壇があった。
ミニ図書館も。
小さな椅子があるが、こちらの園では机も椅子も木材でということにこだわってこられたそうだ。
ロフトから見たホール。
ロフトスペースは園児は立ち入らない、収納スペースとして使われている。
角はすべて120度が基本。
柱につけられた明かり。
こちらは教室として使われている部屋。天井に木によるラインがある。
突き当たりの壁は120度に開く。
こちらは昭和50年(1975)に増築された講堂。ここで園長先生のお話を伺う機会があった。
講堂の窓から。外は坂道。
その坂道から。傾斜地を造成した窪みにすっぽり収まるように、地形に溶け込むように建てられている印象。
園は左手だが、右手の公園との間は車が通れないようになっており、公園が第二の園庭のようになっていた。
こちらがその公園。
取り壊すには惜しい建物。耐震基準との差は「0.02」とお聞きした(それがどの程度を表すかはわからないが)
手作りのお雛さまが並んでいた。
帰路のバス停から。