墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「加地邸をひらく ―継承を目指して」展 遠藤新が設計した幻の名作別荘の公開と資料の展示 @神奈川県三浦郡葉山町

11/16の日曜日、葉山の洋館を見に出かけた。

1928年(昭和3年)竣工の加地邸。

フランク・ロイド・ライトの一番弟子、日本でライトが手掛けた建築全ての、設計から竣工までを支えた遠藤新(あらた)39歳時の作品の、”86年ぶり”の特別公開。

この日は午前中のみだったが、11月(の土日祝)で公開が終わってしまうのでGO。

 加地邸展覧会チラシ(表)

 

東京駅で東海道線に乗り戸塚駅で横須賀線に乗り換える。北鎌倉、鎌倉で大勢降りたが逗子も混んでいた。亀岡八幡宮と中央商店街にての逗子海岸流鏑馬と武者行列の日だった。そうとは知らず、逗子駅でちょうど出発しようとしていた2番のバスに乗ったら、途中車窓から駅前の神社境内の人垣の向こうに騎馬武者が見えた。

下の写真は帰り道で撮った逗子駅。

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バスは中学生の団体で大混雑だったが20分近く耐えて「役場前」に到着。セブンイレブンの向かいの小道をはいると、正面の丘中腹に加地邸がある。

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四角いのは煙突(?)

人がいるあたりが門の前で、そこから石段を上がると1階レベルになる。

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車の入れない道を上る。

「はやま三ヶ岡山緑地 つつじコース」のルートになっている。

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すぐに左折。加地邸の石壁。

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すぐに門の前に到達。すでに石垣に特有のデザインが表出している。

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正面玄関は1階レベルより階段を数段下がったところにある。

靴を袋に入れて見学するが、出入りが多くごった返していた。

中で入場料1000円を払う。残念ながら内部撮影不可だった。

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玄関の上の部分。2階の手前側の庇はパーゴラになっている。

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パーゴラのある部屋は展望室。その下は食堂になる。

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展望室からは海も見渡せた。

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食堂の下はテラスになってる。玄関レベルよりさらに数段下がる。

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テラスにある大谷石の水盤。

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上記の背面の石壁。石のベンチもある。こちらの石も切り出したばかりのように美しかった。

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切り出した元の場所を思い出した。

 

こちらは庭から見たところ。中央の2本の柱の左の緑が玄関の軒先になる。右の3人の女性の立っているところも屋根つきテラスになっていて、その後ろが居間になる。

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このテラスではコーヒーとパンを販売していた。テラスの屋根はガラス製だった。

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庭の奥から。2本ペアの柱が3組並ぶ。

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三角に張り出した部屋はサンルーム。

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積み木を組み上げたような大谷石の柱。86年前のものとは思えないきれいな色をしている。

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サンルームの前にには池(の跡)もあった。

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施主は三井物産の重役だった加地利夫氏。個人の別荘だが遺族のご好意により期間限定での一般公開の運びとなった。この建物の完成3年後に本邸が白金三光町に竣工したがすでに解体されている。

この別荘も住居としては使われておらずあちこちで壁紙が剥がれていたりするが、逆に、遠藤新がデザインした照明器具や家具、敷物までもが当初のままの状態で残されており、設計者が意図した「空間全体のデザイン」を追体験できる。

 

各部屋は、同じフロアレベルでも数段の階段によって連絡しているところが多く、観覧者が多くてすれ違いに気をつかったが、床に高低差を設けることによって部屋ごとの距離感をつくりだしているところもあるという。

パンフレット(1500円、家具の設計図まである。お買い得です)にある井上祐一氏の解説には下記のようにある。

「各室は、高みから流れてくる水の流れのように配置構成されている。・・・水の流れに例えると、居間は周囲から流れ込むせせらぎの水を湛える池としての役割を果たす。水は高きから低きに流れる。建物の西側部分は、夫人室→展望室→寝室・書斎→西の中二階→食堂の順に高から低へと配置されている」

 

居間の写真はチラシに使われているが、天井が高い吹き抜けで、暖炉のある温かみのある空間だった。

 

建物のあちこちに、明治村で見た帝国ホテルや、池袋で見た自由学園明日館(どちらもライト建築)を髣髴とさせるものがあり、非常に興味深い体験ができた。

 

 門の前からの眺め。海もチラっと見えた。

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下記はチラシの裏面。今週と来週末、あと5日間の開催です。

加地邸展覧会チラシ(裏)