墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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大代古墳・後編 徳島県鳴門市大津町大代

前回のつづき、11月下旬の墳行旅の最終回。 

 

大代古墳の解説は途中の道路沿いにも、臨時仮設のものが数枚あった。

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大代古墳
大代古墳は、鳴門市大津町にある墳丘長54mの前方後円墳です。
墳丘の周囲と後円部の埋葬施設の上面には埴輪列を置き、竪穴式石室には刳り抜き式の舟形石棺が置かれていました。香川県産の凝灰岩で作られたもので県内では唯一のものです。出土品は盗掘により多くが失われていましたが、装身具や甲冑・農工具などが残されていました。
大代古墳が築かれた丘陵のふもとには、2基の円墳(尼塚古墳・カニ塚古墳)があり、大代古墳から数世代後の地域首長の墓だと考えられています。
大代古墳は遺跡の重要性から、高速道路トンネル上の現地で保存され、出土した石棺の複製品は徳島県立埋蔵文化財総合センター・鳴門市大津中央公民館で展示されています。

 

高速道路建設に伴う調査(2000年)にて”発見された”古墳であった。

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保存された大代古墳
大代古墳は高速道路建設に伴う調査で発見されました。当初は古墳のある尾根を削って道路にする予定でしたが、前方後円墳であることが明らかになったため、古墳の下にトンネルを設けることで、現地で保存することができました。
保存後は、地元の「大代古墳等歴史的文化遺産保存会」の皆さんによる草刈りや、年数回の現地見学会での説明など、古墳の保存・活用のための活動が行われています。

 

舟形石棺は、墳丘に埋め戻されている。 

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大代古墳と舟形石棺
大代古墳は全長54mの前方後円墳で、後円部には竪穴式石室が設けられ、白色凝灰岩製の舟形石棺が安置されていました。大代古墳が現地で保存されたため、石棺もその場所に埋め戻されています。


埋葬施設からはさまざまな副葬品が、墳丘からは多様な埴輪が出土。

大代古墳出土品

大代古墳の埋葬施設からは、青銅鏡、武具、武器、農工具、玉類などが出土しました。

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また、古墳の墳丘には円筒埴輪が並んでいたこと、家形埴輪や盾形埴輪など多様な埴輪が確認されています。 

 

急な階段を登ると後円部裾に出た。

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裾を巻いて前方部先端側へ。その先に円墳(3号墳:径15m)が並ぶ。

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3号墳から見た大代古墳。ちょうど前方部(手前側)と後円部(奥)の両方に見学者が立っている。

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後円部墳頂に上がって南東方向をパノラマで。

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素晴らしい眺め!

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目の前の徳島平野は吉野川によって形成された沖積平野。

徳島の中心街は川の対岸(河口の三角州上)、ここから10㎞ほど先に位置している。

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発掘時の様子(説明板の写真)

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西側に延びる高松自動車道。

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反対の東側、鳴門海峡方面。

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上記写真の右端のズーム。紀伊水道の向こうに紀伊半島が見えていました。

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後円部から北側のは円墳がもう1基。2号墳は径22mの円墳。

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2号墳の墳丘から北側を。

阿讃山脈(讃岐山脈)から下ってきた舌状の尾根上を、削ったり盛ったりして築かれた古墳群です。

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そこから振り返った、大代古墳後円部。

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古代人も眺めたであろう景色の広がりを、秋の陽射しのもとで堪能できました。

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墳裾に柵はあるのですが、ちょっと足がすくみ気味かも。

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こんな感じで”保存”されています。

 

階段路は覗き込んでも見えないほど急。 

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公開日時は年に一度、11月23日の13時から15時と非常に限られます。せっかくの3連休だったので思い切って行きました。大阪からの高速料金は軽でも1万円を超えましたが…

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駐車場へ戻る道すがら振り返った墳丘。

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帰りは高速(中国自動車道)で渋滞し、新大阪まで3時間超かかって帰りの新幹線ぎりぎりになりましたが、グーグルマップのルート案内は優秀で、予想到着時間をそれほど外しませんでした。