4/11の土曜日、前売り券を買っていた展覧会へ出かけた。
場所は上野公園に隣り合う東京藝大内の東京藝術大学美術館。
展覧会サイトにある開催趣旨によれば、明治の開国で日本は西洋から大きなインパクトを受けた一方で、西洋も日本から浮世絵~ジャポニスムに留まらないインパクトを受けていた、という「双方向的な」影響関係を再検討しようとする展覧会。
土曜の午後の時間帯だったが混雑はなく、興味を惹かれた作品を近くからじっくり見ることができた。開催は5/17まで。一般1500円。
展示構成は下記の通り
プロローグ 黒船が来た!
第1章 不思議の国Japan
第2章 文明、開花せよ
第3章 西洋美術の手習い
第4章 日本美術の創造
第5章 近代国家として
公式サイトに詳しく、かつ丁寧に解説されている。
上記のサイトの中から何点か転載。
高橋由一「花魁(美人)」1872年(明治5)東京藝大蔵・重文
教科書で見る作品だが、じっくり見ていると明治時代に連続していた江戸時代がリアルに迫ってくる。
重文の作品は他に狩野芳崖の悲母観音が展示されていた。
高石重義「竜自在」江戸時代後期 全長194.3cm
すべての関節や胴体が自由に動く「自在」の置物。ボストン美術館蔵。
丸印はX線写真。全ての部分が可動するというのが凄い。モーターを入れたらそのままロボットになりそう。
柴田是真「野菜涅槃図蒔絵盆」1888年(明治21)ボストン美術館蔵。
漆細工として見事だが、若冲を見たばかりだったので、テーマ(野菜による仏涅槃図)としての関連がどうなっているのか気になった。
昇斎一景「高輪鉄道蒸気車之全図」1872年(明治5)ボストン美術館蔵。
開通と同年に描かれている。右上は品川の八ツ山橋。1879年まで機関士は外国人だったと初めて知った。
井上安治(探景)「東京名所従吾妻橋水雷火遠望之図」1888年(明治21)ボストン美術館蔵。
最近読んだ本に紹介されていた絵。実際の展示では照明の関係かここまで色とりどりには見えないが、カラフルで目をひいた。今の週刊誌の巻頭グラビアのようなものか。橋の入口アーチ上のくり抜き模様は桜のようだ。
奥が浅草寺。こんな場所で水雷実験をしていたとは驚きだが、1888年当時に軍事力を一般大衆にPRする場としてはここが一番だったのだろう。
このほかにもボストン美術館所蔵の小林清親による浮世絵「九段坂五月夜」(1874)では九段坂の常夜灯(靖国神社の燈籠)がガス燈として活躍していたときの姿が描かれていて興味深かった。
下記は東京都立図書館のサイトにあった同作品。
小林清親: May Night at Kudanzaka (Kudanzaka gogatsu [no] yoru) - ボストン美術館 - 浮世絵検索
竹内久一「神武天皇立像」1890年(明治23)像高236.0cm 東京藝大蔵。
台座を入れるとほぼ3m。現実味のある畏怖を感じる大きさ。
自分は古墳時代の大王の復元モデルとしてとても興味深く見させていただいた。腰に差された環頭大刀は迫力がある。展示では弓も復元されていた。
明治天皇の肖像等が並んでいる展示室にあったが、顔を明治天皇にそっくりにしてあるように思った。
本館の向かいには、去年の6月に法隆寺金堂壁画の実物大レプリカを見た陳列館。
この日は本館展示だけで、ここは休館。
昭和4年竣工。平成22年耐震補強・改修工事。
その手前では、ほんのり黄色っぽい桜?が満開だった。
本館展示室3階からはスカイツリーも見えた。