墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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桜土手古墳群2・桜土手古墳展示館 神奈川県秦野市

前回のつづき。

桜土手古墳展示館は1990年(平成2年)11月にオープン。周辺エリアの開発と同時に作られた、公園&展示館だった。

入館無料、写真撮影可。

秦野市役所公式ホームページ/桜土手古墳公園・展示館への案内

 

入館者がしばらくは自分一人だったこともあり、学芸員の方に懇切丁寧に解説いただいた。

下記は「導入展示」 須恵器は24号墳出土。

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パネル解説の部分。

古墳時代の後期になると、古墳を造る層が広がり、特に大陸の墓制の影響を受けた横穴式石室の古墳が全国各地に造られるようになりました。桜土手古墳もそのひとつで、7~8世紀頃のものと思われます。発掘調査の結果、全部で35基の古墳が確認され、装身具・武器をはじめ、土器などが副葬されていました。1基の古墳から数体の骨が発見されたものもあり、家族墓として用いられたと思われます。古代の人々は死後の世界をどう考え、なぜ古墳を造ったのでしょうか。

 

須恵器の手前には、24号墳出土の直刀、刀子、鉄鏃、耳環、管玉、丸玉の品々。

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下の写真は桜土手古墳群の全体の模型。扇形のプラスチックが展示館。調査で確認された35基が示されている。

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下記はガイドブックの説明から引用。

秦野盆地を西から東に流れる水無川中流域の南側に拡がる平地の東西500m、南北300mほどの範囲に拡がる群集墳。古墳群の南側には堀川という堀があり、その河畔に沿って桜並木が続いているので、このあたりは通称桜土手と呼ばれています。

古墳はすべて円墳です。大きさは周溝を入れないで、いちばん大きい古墳で径28m(1、7号墳)、いちばん小さいものでも径約8.5m(17、40号墳)です。

大きさから大型・中型・こ型に分けられ、大型・中型のものは、古墳群の南西及び北西部にそれぞれ離れて造られ、小型のものは中央部よりやや西に寄ったところに密集して造られています。また全ての古墳の石室の入口は、ほぼ南に向けて造られていました。

江戸時代から「塚」のつく地名があって古墳の存在が知られていたようだが、本格的な調査は1974年~77年に第一次、1986年に第二次で実施。それまでは雑木林に埋もれていたようだ。

 

下記は古墳エリア模型の逆三角形が示された1990年の写真パネル。

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古墳公園の域外にも、日産車体敷地内に5基、島津製作所敷地内に1基が保存されている。

 

グレイは消滅してしまった古墳。 

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横穴式石室古墳が35基とは、全部残っていたらさぞかし壮観だった・・・

 

古墳造営の模型。

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これが結構精巧にできていた。荷揚げ路で前方後円墳状に見えるが円墳。

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直径30m弱、高さ6m弱の円墳でも、多くの労力がかかることがよくわかる。この大きさで石の数は5000個ほどになるそうだ。

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副葬品の展示コーナー。14号墳、38号墳出土の須恵器が綺麗な形をしている。

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上記の裏側の展示。

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25号墳、38号墳出土の直刀、鍔、刀子、鉄鏃。右下の鍔には銀の象嵌模様がある。

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1号墳出土のきれいな勾玉、切子ガラス、ガラス丸玉。9号墳、14号墳からは金の耳環も。

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38号墳からは馬具も出ている。

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1号墳出土の巨大な須恵器の甕。高さ86cmある。

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甕の肩の部分の穴は、力を加えてわざと割ったと推定されるとのこと。

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また、とても気になる「西相模の古墳」の地図+写真展示も。

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地下展示室には「さわる展示」コーナーもあった。

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無人の野菜販売所のように無造作に置いてあったが、本物の出土品。

これまで土器を触る展示はあったが、石器は初めてだった。

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石斧。厚みはあるが縦横はスマホぐらい。ずしりと思い。

微妙なカーブが、手になじんでいる工具のような感じだった。数千年前の人とシンクロしたような気分になった。

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須恵器と土器(縄文)との厚さの違い。古代から薄さは進化の証だった?

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縄文土器の見事な模様。

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三角縁神獣鏡の解説パネル。関東では千葉県の城山古墳、群馬県の三本木古墳、神奈川県の真土大塚山古墳、白山古墳の位置が示されていた。

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別のパネルには千葉県市原市の神門古墳の解説もあった。調査時のようすがわかる興味深い写真。

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ここまで見てから、実物の古墳に向かった。

つづく。