古墳群の展示館を見学してから、その”裏山”の現地へ。
確認されているものだけで80基。展示館で見どころを聞けなかったら途方にくれたと思います。
法皇山(ほうおうざん)の名称は、花山法皇の宝物がここに隠されているとの伝説に由来するそうです。横穴の副葬品が関係するのでしょうかね。
最初に向かったのは北の丘裾に並ぶAグループ。
逆の端から。
80基は4つにグループ分けされています。
横穴の並び方
法皇山の横穴数は確認されているだけでも80基あります。未確認のものを含めると200基以上の数になると思われます。横穴は無造作に作ったものではなく、いくつかのまとまりを持って並んでいます。これらのまとまりを法皇山横穴群では大きくA・B・C・Dの4つにグループ分けをしています。
一列に横並びになってるもの、等間隔で造られているもの、何かの集合体のようにみえるものなどいろいろのパターンがあり、それぞれ、築造時期の違いや同族的なつながりを示しているものと思われます。
入りやすい横穴もありました。
玄門の片側は下部を欠損。
内部は半筒形のドーム状。
奥壁前に棺台も。
奥壁を背にして。
”排水路”が残っていることに感動。
その次に展示館で勧められた、一段高いところにあるDグループへ(園路は整備されています)
少し上がって振り返って。
園路のところどころに解説板が立っています。
横穴の構造
横穴は奥から玄室・前室・羨道・前庭部によって構成されています。玄室は横穴の中心で奥の一段高い「棺台」に遺骸を安置します。「前室」・「前庭部」はともに埋葬儀礼に関係する場所と考えられています。遺骸の供養にあたるお祀りが終わると、入口を塞ぐために板石や河原石を積んで密閉し、外界から遮断したようです。当横穴群には、Cグループのように当時の入口を塞いだ状態がわかるように整備されたものもあります。
その先に、見事な横穴が並んでいました。
こちらは入口が整えられ、見学しやすい一基。
光を当てると複数の門が!
開口部から羨道へ入ると、前室への門が。
前室に入ると、目の前に玄門。
その先には、精巧に掘り抜き加工された玄室。
暗闇に、カエルとクモと。
棺台も、その手前の床面も、壁との間に細い溝があり、玄室内の排水処理が考慮されています。
奥壁を背にして。天井はカマボコ形にカーブしていますが、少し頂部がとがり気味のように感じました。
上記の右の”小部屋”
玄門から前室、羨道、開口部を。
近くにあった解説。
埋葬の工夫
玄室から前庭部にかけて溝をめぐらせています。自然に出来たものではなく、奥から前に向かって傾斜をつけて掘られていることをみると、人工的に造られたものであることがわかります。横穴群のある付近は地下水の多い所なので、その排水のための工夫と思われます。現代でもいろいろな工夫を施し、一番いい状態にするのと同様に、古代の人々も埋葬された人が死後もすごしやすいようにとう工夫していたようです。
玄室の形
玄室は遺体の安置場所です。床は長方形や台形のものがほとんどです。天井は切妻屋根形。カマボコ形、尖頭形、アーチ形などがあります。一般的に規模が大きく精巧な造りのものほど古い時代に造られたもので、規模が小さく粗雑なものほど年代が新しくなってきます。
玄室内には、一段高くなっている場所があります。この場所を棺台と呼びます。ここは遺体を横たえる場所です。人が横になるには丁度いい広さをとってあります。横穴によっては、二人分の棺台があるところもあります。
その先にも次々に開口部がありましたが、時間の関係で外からのみで。
丘陵の頂上付近からは、展示館とは逆側の平野が見え、この丘が舌状台地であることを実感しました。
2023年9月中旬訪問