前回までの大室谷の杉林から資料館周辺の「エントランスゾーン」に戻ってきました。
このあたりは墳丘が残る芝生広場として整備されています。
谷の復元
史跡整備以前は段々畑でしたが、浅い谷のある古墳時代の起伏を発掘調査によって復元しました。
ここから前方にのびる谷の左側に246号墳、右側に243・244号墳があり、谷を避けて小高い場所に古墳が造られていることがわかります。
長野市教育委員会
エントランスゾーンだけでこれだけあって見応えがあります。
まず、園路沿いの239号墳から。門柱のような2本の木。
個々の古墳に説明板がつきます。
239号墳
■墳形 円墳(直径約15m)
■埋葬施設 横穴式石室(無袖形)
■年代 6世紀後半
上円下方墳や方墳の可能性が指摘されていましたが、発掘調査により円墳と判断しました。ただし、斜面下方の石列は八角形に近く、多角形墳の可能性も考えられます。横穴式石室は良く残っており、奥壁には昭和24年からの分布調査時に書かれた「239」の文字が残っています。
長野市教育委員会
石室内も見学できる仕様。
解説のとおり、状態の良い石室です。
奥壁から開口部。
239号墳を南東側から。
その東隣の238号墳。
横穴式石室は埋め戻されて、土石混合の墳丘に復元されています。
238号墳
■墳形 円墳(規模不明)
■埋葬施設 横穴式石室(胴張形)
■年代 7世紀前半
整備以前は長方形に見える古墳でしたが、発掘調査により円墳であることがわかりました。また、墳丘内で発掘された横穴式石室は天井石が全て崩落するなど、修理が困難なほど壊れていました。このため、横穴式石室は埋め戻し、石と土を混ぜた土石混合の墳丘を復元しています。
長野市教育委員会
238号墳を北側から。背後のU字谷が大室谷です。右奥が資料館。
すぐそばでは梅が満開でした。
その西、238号墳の北隣に240号墳。
土石混合の墳丘面は、子供向けの遊具のような雰囲気です。
その解説板。
240号墳
■墳形 円墳(直径約13m)
■埋葬施設 横穴式石室
■年代 7世紀前半
整備前には横穴式石室の入口側が大きく改変され、墳丘や横穴式石室羨道部が失われていました。このため、以前の状況を活かして土石混合墳丘の断面が観察できるように整備を行っています。また、古墳端部の大型石列は発掘調査で確認された本物による表示を行っています。
立ったまま入れる開口部。立派な奥壁です。
奥壁を背にして。
大室古墳群、あと3回続きます。