8月28日土曜日の午前、上野の東博へ行ってきました。
今年・令和3年(2021)は聖徳太子(574~622)の1400年遠忌(おんき:五十年忌、百年忌など、没後長い期間を経て行われる仏事のこと)にあたるそうです。
これを記念した特別展が奈良を経て、東京・上野で9月5日まで開催されています。
事前予約が必要ですが、現時点ではまだ予約可能のようです。
国宝や重文が何十点も出展されています。
仏像では、法隆寺金堂の中央に安置される釈迦三尊像の右隣の薬師如来座像(7世紀:国宝・ポスター写真左)や、同じく金堂内須弥壇に立つ四天王像のうちの広目天・多聞天の2体(7世紀・国内最古の四天王像:国宝)も”目玉展示”だと思いますが、最もインパクトがあったのは展示ルート一番最後の「伝橘夫人念持仏(阿弥陀三尊像)・厨子」(7~8世紀)でした。
通常は厨子の中に納められているブロンズ製の三尊像を、厨子から出された状態の至近距離でじっくり拝観できます。
”土台”の蓮池や、レースのように繊細な光背など、厨子に入っていたら見ることはかなわない部分も(ガラス越しではありますが)間近で目にすることができました。
横幅1mくらいでしょうか。それほど大きくはないですが、みればみるほどその完成度の高さ、形の美しさにもそれをつくる技術にも驚きました。
美を語る「伝橘夫人念持仏厨子」…特別展「聖徳太子と法隆寺」からvol.4 | 紡ぐプロジェクト
橘夫人念持仏は最近こちらの本を読んで白鳳三仏の名宝のひとつとして、改めて認識したばかりでした。
このような”先端技術”が仏教とともに入ってきたら、それまで拡大を続けてきた古墳の造営気運・その文化は、時代遅れになってしまったであろうと納得もできました。
この像を見るだけでも上野に足を運ぶ価値がある、仏像ファンでなくとも見逃すのは非常にもったいない展覧会だと思いました。