墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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スクモ塚古墳 島根県益田市久城町字須久茂塚

前回の、鵜の鼻古墳群からは、2.4㎞南西のスクモ塚古墳へ。国史跡です。

 

広い見学者用駐車場。

 

100m級の大きな前方後円墳(の印象です)

 

後円部を先端側から見上げて。

 

東の道路側から。

 

説明板によれば、最近になって前方後円墳ではなく、造り出し付き円墳と方墳が隣接したものと考えられているとのこと。

国指定史跡
スクモ塚古墳
指定:昭和16年12月13日
スクモ塚古墳は古墳時代の5世紀初め頃に益田地方を治めていた首長の墓として、四塚山古墳(下本郷町)、大元1号墳(遠田町)につづく時期に築造されたものと菅家られ、石見地方を代表する大型古墳です。
これまで全長100mに及ぶ前方後円墳といわれてきましたが、最近は造り出し付きの大型円墳と方墳が隣接したものと考えられています。
円墳は直径約56m、高さ約7mの2段築成で、墳頂部には広い平坦面がり、墳丘の表面には葺石が全面に施され、周囲には円筒埴輪が巡らされていました。
北側に延びる造り出し部分は縦約17m、横約15mで高さは約2.5m、その両側に従臣のものと思われる小さな陪塚(円墳)がありましたが、今はほとんどその原形を失っています。
また、この古墳の北側に隣接している方墳は一辺10~12m、高さ1.5mの大きさです。
平成10年3月 益田市教育委員会

 

「慰霊すくも塚」と刻まれた石碑と、実測図のある標柱。

 

こちらが実測図。

 

まずは、問題の接続部へ。

 

後円部の裾から、方墳あるいは前方部方向。

 

確かにその間には凹みがあります。

 

凹みから「方墳」方向。

 

振り返った「造り出し」と「円墳」

 

益田市の観光サイトには、島根県内最大の前方後円墳で、前方部の上に「方形壇」を設けているのが特徴とあります。

スクモ塚古墳 (国指定史跡) | 島根県益田市観光公式サイト

 

後世の改変もあり得ると思うのですが、わざわざ前方後円墳の鞍部を、2つに墳丘に見えるように掘りくぼめることはないと思うので、もとから造り出し付き円墳であったように感じました。

 

逆にですが、前方後円墳はヤマト王権からの認可・許可が必要だったという説があるので、王権からは造り出し付円墳しか認められなかった首長が、方墳をつなげることで前方後円墳のように見せたのではと思うと痛快です。

 

※追記:直近の調査で、スクモ塚古墳は前方後円墳であることが判ったそうです。

R5第1回いにしえ倶楽部連続講座「スクモ塚古墳・大元1号墳-日本海沿岸の大首長墳の調査-」 - YouTube

 

「方墳」から望む「造り出し付円墳」 軸線は一致しますね。

 

「方墳」の先端方向。

 

そこから右手側の角。

 

左手側の角。

 

角から降りて、スマホ広角で。

 

「円墳」に上がって振り返って。

 

円墳の広い墳頂。

 

ズームすると、日本海の水平線がちらり。

 

墳頂の石。

 

墳頂から先端(南東)方向。

 

こちらは墳丘の西隣にある陪塚。

 

陪塚あたりから見る墳丘。

 

陪塚も含めて墳丘を見ると、前方後円墳的な雰囲気になりますね。

 

※追記:こちらも前出の調査(youtube)で、古墳ではないことがわかったとのこと。

この近くには瓦(石州瓦ですね)の工場があり、ここで瓦の材料に適した粘土が採れたため、周囲を掘ったり、残土を積んだりした跡とのことでした。

 

検索すると、2022年の新聞記事では全長96mの前方後円墳と。

スクモ塚古墳、島根県内最大の前方後円墳と判明 有力豪族、存在か [島根県]:朝日新聞デジタル

益田の国史跡スクモ塚古墳は前方後円墳 全長96メートル、県内最大 市教委など調査 | 中国新聞デジタル

 

そのそばには円筒埴輪のレプリカが、ガラスケースの中に。

スクモ塚古墳 円筒埴輪(レプリカ)の展示について
スクモ塚古墳にはたくさんの円筒埴輪が設置されていた、と考えられます。しかし幾世紀をも超えた長い歳月の間に破損等によって消滅し現在はその原形を留めたものはなく、昭和16年国の史跡として指定された際に掘り出された半壊の円筒埴輪の一部が町内の民家に保存されており、これが唯一スクモ塚古墳の円筒埴輪の存在を物語っています。
また、古墳の墳頂部並びに中段の外縁部等では埴輪が設置されていたと思われる箇所に素焼きの破片をみることが出来ます。
ここに展示した円筒埴輪は、2009年7月~11月末にかけて開催した「スクモ塚古墳・埴輪つくり教室」において、参加した市民のみなさんがスクモ塚古墳築造当時(5世紀中葉)の工法によって作成した53個の作品の中から、島根県埋蔵文化財調査センターの専門職員によって規格・形・紋様等を考慮してスクモ塚古墳の展示用埴輪として選びだされたものです。
平成21年12月 久城伝承文化顕彰会

 

地域で愛されている様子が伝わってきました。