墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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稲葉山古墳群 京都府福知山市猪崎

前回の私市円山古墳から5.5㎞西、由良川に土師川が合流するその右岸に稲葉山古墳が立地します。

 

 

細道を上がった先で振り返って。右奥がこちらに後円部を向ける10号墳。

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10号墳は全長38mの前方後円墳です。後円部先端側から。

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裾に気になる”施設”がありますがこれは?

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後円部の北側裾に詳細な説明板あり。

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稲葉山古墳群
福知山の中でも一二を争う古墳密集地帯の猪崎地区にある稲葉山古墳群は、有志により市内で初めて発掘調査が行われた遺跡です。円筒埴輪や人物埴輪の出土により、北近畿を代表する古墳群であることが明らかとなり、主要な古墳が保存されることになりました。調査が実施されたのは昭和31~33年(1956~1958)。宅地造成に伴い、郷土史家、福知山史談会、福知山高等学校や桃映・成和・南陵中学校の社会クラブなどにより、13基で構成される稲葉山古墳群のうり、1・3~5・8~10号墳の7基が断続的に発掘調査されました。調査された古墳は、9号墳、8・10号墳、1~7号墳の3つに大別できます。築造された時期順に各古墳の内容を紹介します。

●9号墳
東西20.0m、南北17.5mの長方形墳。墳頂部で2基の箱形石棺が確認されています。2号石棺には内法長約2.1m、幅約0.45m、深さ約0.3mを測り、石棺内に2体の人骨、鉄剣1、直刀1がありました。人骨は頭を両端にして仰向けに重ねられており、両頭蓋骨には鮮やかな朱(赤色の顔料)が残っていました。一つの棺に複数遺体の埋葬が確認できる確かな例でもあります。時期を示す副葬品に乏しいものの、丘陵頂部にある立地や墳形から、他の古墳に先行して造られた古墳で、5世紀前半頃の時期に位置付けられます。

●8号墳
9号墳の南側にあって、墳形や規模などは不明です。埋葬施設は、東西2.7m、南北1.5mの墓壙で、底には円礫が敷き詰められていました。出土した土器から、5世紀前半頃に位置付けられます。

●10号墳
前方後円墳。全長38.0m、後円部径約24.5m、前方部幅約21.0m。後円部高や約3.8m、前方部高約3.1m、くびれ部高約2.3m。福知山市内で3番目に大きな前方後円墳です。埋葬施設は全長6.0m以上、幅3.0m以上。底部には礫が敷き詰められた8号墳の埋葬施設と共通するもので、全面に赤色顔料が塗布されていました。調査時に一部盗難にあっていますが、棺内からは鉄鏃36点が出土しています。また、墳丘の周囲には円筒埴輪を立て並べ、南側のくびれ部には人物埴輪をはじめとする形象埴輪が置かれていました。形象埴輪は、人物が巫女、男子弾琴、桂甲武人、鷹匠の4体のほか、家形に馬形と豊富な種類が出土しています。出土した埴輪の一部は福知山城(郷土資料館)で展示されています。豊富な形象埴輪は府内でも類をみない貴重な資料で、稲葉山10号墳が特別な古墳であることを教えてくれます。10号墳は先駆的な発掘調査のおかげでその姿を今も見ることができます。

●1~7号墳
1~7号墳は、直径17mの大きな4号墳を除き、いずれも直径10m前後の円墳でした。発掘された1・3~5号墳と6・7号墳の聞き取り調査から、埋葬施設は持ち運びができる棺ではなく、墓壙の中で棺の板材を粘土で固定して組み立てる木棺直葬と呼ばれるものであったようです。同じ三段池周辺にある池の奥6号墳なども同様の構造で、中丹地域の後期古墳ではよく見られる種類です。10号墳に続いて6世紀前半から中葉にかけて連続して造られたものと推定されます。
平成28年2月 福知山市教育委員会

 

古墳群分布図部分の拡大。

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周辺にも多くの古墳が密度濃く。

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10号墳の後円部(左)と前方部(右奥)

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後円部墳頂に上がらせていただいて、前方部方向を。

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前方部へ渡って後円部を。

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前方部から南側の眺め。

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前方部右裾から。

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10号墳後円部の先端側に2号墳(多分)

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一部がコンクリで固められたこれは?石棺石材でしょうか。

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2号墳を別の角度から。左の木立の下が1号墳だったようです。

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分布図にあった9号墳を見ようと思い、後円部の先にある斜面を登ってみました。

斜面で振り返った10号墳。

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上がった先はアンテナの立つ広場でした。

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ここに9号墳(長方墳)があったのでしょう。
10号墳と2号墳・1号墳以外は墳丘を認識できませんでした。