今回の木村産業研究所は昭和7年(1932)築、前川國男27歳時の建築家デビュー作。
弘前市庁舎から南に徒歩9分の住宅街に立地。
現在は、弘前こぎん研究所として使われています。
ほぼ全面ガラスの玄関扉を内側から。
背面側に、こぎん研究所の入口扉。
廊下の先の様子。
壁や天井、柱や梁はシンプルな白ですが、床のタイル模様が凝っています。
そこから左を向くと階段が。
さらに左を向くと、横長のガラスを45枚組み合わせた開放的な”窓”
検索すると「前川國男の建物を大切にする会」のサイトに詳しい解説がありました。
前川國男が留学先のパリから帰る船上で、母と同郷弘前の木村隆三から地場産業振興のための研究所の設計を依頼されたとのこと。
「若き日の前川の建築家としてのみずみずしい感性が随所に感じられる」建物であり、昭和10年にここを訪ねたブルーノ・タウトは、”コルビュジェ風の新しい白亜の建物”と著書「日本美の再発見」に記したことも紹介されています。
階段を上がった先の。
踊り場の壁は、ほんのり奥に膨らむ曲面。
窓の外にはぐるりを回れるベランダが。前出のサイトによれば、かつては1階への外部階段がついていたようです。
その部分の天井は鮮やかな赤。
一階の玄関外からもよく見えました。
階段の左側の、扉が開いていた小部屋。
ベランダへのガラス扉がありました。
ホールに置かれていたテーブル。
机。これらもオリジナルのものでしょうか。
2階のメインルームへ。
前川國男や「こぎん刺し」についての展示室のようですが、準備中の雰囲気でした。
その部屋の窓。その前には仕事をしやすそうなテーブルが。
窓からは岩木山がよく見えました。
こぎん研究所では、バッグやポーチ、財布や名刺入れ、針刺しやペンケース、コースターなど、さまざまな商品(柄は一つ一つ異なる)が販売されていました。
「津軽こぎん刺し」とは、江戸時代に麻の着物しか着ることが許されなかった津軽の農民が、麻布に木綿の糸を通した”刺し子”で、「モドコ」という40種類ほどの基礎模様を組み合わせて美しい幾何学模様が生み出しています。
通販でも購入可。
外に出ると陽射しが強くなっていました。
前出の”前川國男の建物を大切にする会”の解説によると、正面に向かって右奥にピロティがあり、「そこをくぐると緩やかなカーブで裏庭に突き出した貴賓室が見える」そうですが現地では気づきませんでした。