2019年11月30日、品川区が主催する区内の歴史的・魅力的建築物の公開イベント「オープンしなけん」に参加した。
品川区では2018年秋から区内にある歴史的・魅力的建築物の調査を開始し、「東京建築アクセスポイント」と連携し所有者の協力を得て、1日限定の公開イベントを春と秋に開催している(ということを今回初めて知った)
最初に訪ねたのは西品川にある品川バプテスト教会。
角が丸くて可愛らしい建物。
道路側から見ると、緩い坂道に面していることがわかる。
その上には十字架。
お隣との境界。住宅地の中に溶け込むように建っている。
枝道へ入った側に入口がある。
庇の下で飛び出たところは増築部分。
内部は外見の印象より広々している。通路は左右に2つ。
こちらはいただいた12頁のパンフ。
1963年の献堂で設計は天野太郎研究室。天野太郎は1952~53年にフランク・ロイド・ライトの元で学んだ人物だが、当教会の設計当時は東京藝大美術部建築家の助教授だったとのこと。研究室には吉原正(1922~2014)という代表者(工学院大学講師)がおられ、その方の娘さんが大井バプテスト教会(当教会の母教会)の幼稚園に通っていた縁で、後の天野・吉原設計事務所が手掛けることになったという。
祭壇に向かって右手の壁。増築前はこちらに窓があったそうだ。
祭壇右側の壁は丸みを帯びている。
祭壇左側の隅も丸みがあって、日の光を間接的に引き込むようになっている。
周囲は板壁だが、かつてはコンクリ壁で、1984年に25㎜厚の発砲スチロール板+10㎜の米松合板を貼るという断熱工事が行われたとのこと。
祭壇側から見た”光の取り込み窓”
祭壇側から振り返って。
階段室の壁も丸みを帯びていた。
2階の張り出し部分。
ドア窓が自由学園風。
2階から見た様子。天井高6m、幅8m、奥行10mの空間。
2階の控え部屋から。
控え部屋の様子。ここも隅がカーブし、ガラスタイルから光が注ぐ
隅が丸くなるところは、フランク・ロイド・ライトが1943年に設計(1959年竣工)した「グッゲンハイム美術館」の影響が見て取れる、と解説にあった。
”小さな大空間”を実感する貴重な体験となりました。
機会をつくっていただきた関係者のみなさまに感謝です。
教会の近くに風情のある坂道がありました。
坂名は平和坂。
大正時代、この地は東京府荏原郡品川町大字北品川の三ツ木耕地という地名であった。当時はこの坂から上の道は有隣社通りと言われていた。戦後23年有志総意で平和坂通り商店会を結成しこの時平和坂と名称された。
坂上の小さな交差点。
振り返った平和坂。
ズームで。