前回のつづき。
小田原文化財団・江之浦測候所は、夏至や冬至、春分や秋分の太陽光線を意識した設計のギャラリーや隧道に目を奪われるが、庭や建物周囲に置かれた石も非常に貴重なものが選ばれ、注意深く配置されていた。
白砂の庭への入口は旧根津美術館から移築された明月門。
くぐった先で。
石は元興寺の礎石(2014年出土)。瓦は白鳳期の大官大寺のもの。
飛び石伝いに歩いて来て振り返ったところ。
手前は京都の渡月橋の礎石。1962年の補強工事で川床から発見された室町期に切り出されたもの。
その背後には「石舞台」へ続く一枚岩の橋。23トンの巨石。
石の庭は舞台がある方へと続く。
白砂には美しい波紋。
この並木は元来この地にあったものか。
広場の一画に古墳のような石組みがあった。実際に墳丘があっても全く違和感のない環境だったが。
解説によると、石を組む過程で古墳のような石室空間が現れたため、組まれた石の内部には「実際に古墳石室に使われた石と石棺の一部」が納められているとのこと。
その後ろ側は奥にすぼまるように三角形に石を組んでいた。
三角の頂点は春分秋分時の正午の太陽の方角を指している。
庭にある緩やかな石段。
その隣の大谷石の壁はギャラリーのもの。
年に一度の冬至の朝日を待つ。
敷地の隅の茶室への路。十三重塔は廃仏毀釈で廃寺となった大和の内山永久寺にあったもので鎌倉期のもの。
門から振り返ったところ。
鉄の燈籠は、十三重塔とともに発見されたもので永久寺にあった桃山期のものと推定されるそう。
竹箒の垣根が現れた。
「雨聴天」と名付けられた茶室は待庵(千利休作)の寸法が写されている。
にじり口の足元にガラスの塊が置かれる。
格子の間から中の様子。
茶室の南側には石で組んだ鳥居があった。
山形県小立部落にある重文の石鳥居の形式に準じて組み立てられているが、踏込石にはなんとここにも古墳石棺蓋石が使われているそうだ。
春分秋分時の日の出の光が、鳥居の中心を通って茶室に差し込むように造られている。
振り返ると相模湾が広がっていた。
小田原文化財団・江之浦測候所を訪ねるには事前予約が必要。根府川からの送迎バスか駐車場利用かをあらかじめ選択する。
定員のある入れ替え制で、入館料は一人3000円(中学生以上・のみ)
http://www.odawara-af.com/ja/enoura/ticket/
会場にはきれいなトイレはあるが、レストランのような施設はない(自販機のみ)
円形劇場の屋外席でお弁当を食べたりは可能だが、自分で持って行く必要がある。
また、屋外の展示があるので季節や天候によっては防寒対策を。
送迎バスの場合、会場で過ごす時間が約2時間の設定となる(毎回駅から1往復のみ)
昨年はこちらの展覧会にも伺いました。