墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

発掘された日本列島2019展 @江戸東京博物館・両国

毎年楽しみにしている「発掘された日本列島展」が今年も6月1日から始まった。 

6月2日の日曜日、9時半の開館と同時に入館。 

日本で毎年約8千件超実施される発掘調査から近年の特に注目された出土品を見せる展覧会で、「国民が埋蔵文化財に親しみ、その保護の重要性に関する理解を深める」ことを目的に平成7年から開始され今年で第25回目。

 

自分は2013年からで今年が7回目。2013年には仁徳天皇陵から出土した女子や馬の埴輪が展示されていた。

 

2019年の出品遺跡の一覧。時代や地域が偏らないように選ばれている模様。

 

今年のメインステージは古墳時代

一つ目は岡山市の金蔵山(かなくらやま)古墳の埴輪。 

 

解説によれば、岡山市の金蔵山古墳は4世紀後半(古墳時代前期末~中期初頭)の墳長約160mの前方後円墳。4世紀までの古墳では近畿を除けば西日本最大規模。

このたび前方部の発掘調査が行われ、くびれ部付近で新たに「造り出し」と「島状遺構」が発見された。

造り出しからは柵形の埴輪を周りに配した家形埴輪が5基以上、島状遺構上から柵形埴輪や家形埴輪、蓋形埴輪が出土。首長の居館を表している可能性が示唆されていた。

 

7つの柵形埴輪の中央に、囲形埴輪と家形埴輪のセットがある。

 

別の角度から。奥も金蔵山古墳の埴輪。

 

塀で囲まれた家の中では水にまつわる祭祀が行われていたと考えられている。

 

その根拠となる「木樋と水槽の表現」

展示のものと平面図が異なっているが、家を外すと床面に現れるようだ。

解説には、大型前方後円墳の埴輪祭祀の実態を示すとあった。

 

隣の台には朝顔形埴輪や円筒埴輪も。

 

手前はギザギザがついているが柵形ではなく囲形埴輪との表示。 

 

もう一つのコーナーには、足利氏の行基平山頂古墳からの埴輪たち。

 

6世紀初頭・古墳時代後期の前方後円墳で墳長42m以上、周囲には26基からなる機神山古墳群が広がる。

尾根の自然地形を利用した2段築盛の墳丘で、墳頂部と墳丘テラス面には円筒埴輪が並べられ、前方部に付く4m四方の張り出し部には人物や鳥形、馬形などの形象埴輪が並べられていたそうだ。

 

現地は2年前、ロープの外から見学した。


こちらの特徴は、人面付き円筒埴輪があったこと。

 

別の角度から。

武器や武具が線刻や彩色により描かれ、武人を表現したものとみられるそう。

群馬県”南西部”の一部の古墳から出土するもので、離れた地域での強い関係が伺われるとのこと。 

 

こちらも人面付き円筒埴輪(の断片)

 

展示の器具はそれ専用?

 

こちらは女子人物埴輪。

 

ほかにもミニチュアタイプの人物埴輪、武器や琴、”ざる”や食物形土製品が見つかっている。

 

同コーナーを反対側から。 

 

他の時代についても興味深い展示が数多くあったので、その一部を。

 

今回驚いたのは旧石器時代の展示が千葉県のものだったこと。

酒々井町の墨古沢(すみふるさわ)遺跡は、なんと約3万4千年前の旧石器時代に遡る。

 

展示物は石器。遺構には石器作りの跡が61か所、径60~70mの円を描くように配置され、一時期に作られた旧石器時代のムラとしては日本最大級となるそうだ。


遠方からの石器石材もふんだんに利用しており、当時の人々の活動範囲・交流範囲の広さを物語るという。

 

現地は東関道の酒々井PA付近で、印旛沼にそそぐ二つの川に挟まれた標高35mほどの台地。遺跡の回りには湧水が豊富で、水や動物たちを目当てに集まってきた人々が営んだ集落と考えられるそうだ。

 

時代は全く異なるが、谷を挟んだ北1kmに墨小盛田(すみこもった)古墳がある。 

 

縄文期の展示もとても面白かった。

青森県西目屋村白神山地東麓縄文遺跡群は、縄文時代草創期~晩期(15000年前~2300年前)

前期末から晩期、一万年以上の長きにわたって大規模集落がいくつかの遺跡で営まれている。中期の大型建物や石棺墓、後期の環状に巡る掘立柱建物群、晩期の墓など、当時の生活や葬制、精神文化を示す遺構が豊富であるとのこと。

 

板状土偶が数点。左は大きな足。

 

以前の展示でも見た、リアルな「キノコ形土製品」

 

注ぎ口のある様々な器たち。

 

非常に形の整った人面付注口土器。

 

こちらのお顔のタイプはどこかで見たような…

 

土偶も充実。

 

おなじみ遮光器型など。

 

アスファルトによる補修跡が残るものも。

 

こちらは腕が欠けているが、あのタイプでは?

 

たとえば2014年の展示で見た国宝の風張1遺跡(かざはり)合掌土偶縄文時代後期(約3600年前)青森県八戸市

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または佐倉の歴博で展示されていたレプリカ、「座産の様子を表した?土偶福島県上岡遺跡・縄文後期(約4000年前)

 

芸術品に見える漆塗りの壺や台付浅鉢、赤色顔料素材(赤鉄鉱)や石皿も。

 

漆塗りの櫛も。 

 

こちらは聞きなれない石冠や異形石器。

 

この石冠というものが大変興味深かった。

手で握れるほどの大きさで様々な模様が立体的に刻まれている。会場の係りの方に伺ったが実際何に使われたかは不明で、 現段階では何らか祭祀で用いられたと想像するしかないとのことだった。

ゲームと占いとかやっていたのでは、などと想像した。 

 

松本市のエリ穴遺跡も縄文期(後期~晩期:4000年~2400年前)
居住域の中に墓域や祭祀施設があるが、その端の低地に向かう斜面が廃棄場として利用され大量の遺物が出土している。

 

そこから土製耳飾が、日本最多の2643点出た。バリエーションが豊富で、儀礼をおこなうために周辺集落から持ち寄られ、使用後に廃棄場に残したと考えられるそうだ。

 

弥生時代からは鹿児島県錦江町の山ノ口遺跡(弥生中期後半・2100年前)

 

錦江湾に面した海岸砂丘地上に位置する祭祀遺跡で、海岸線に沿った幅20m・長さ60mほどの範囲に軽石を円形に並べた配石遺構9基が確認された。周囲に土器を並べた立石を伴う配石遺構もあるとのこと。

昭和33~36年の発掘調査資料を再整理そて未発表の写真や図面などを掲示した報告書をが刊行された。過去の調査の再評価も埋蔵文化財を知る重要な取り組みとなるそうだ。


軽石で作られた男女一対とみられる岩偶・家形の軽石製品や赤い顔料が塗られた丹塗土器などが並ぶ。

 

 特集展示コーナー1は「福島の復旧・復興と埋蔵文化財

 

 南相馬市の遺跡からは真野古墳群の出土物も。

 

その金銅製双魚佩(はい)は、waist ornamentとあった。見事な細工。

 

特集2は記念物100年と題したコーナー。今年は日本で記念物保護の取組みが始まって100年目(史跡名勝天然記念物法:大正8年・1919年施行)にあたるとのこと。

 

文化財保護法で土地に根差した文化財=「記念物」について、「史跡」「名勝」「天然記念物」の分類についての解説があった。

 

大室公園にある、国史跡範囲外の内堀4号墳出土の馬形埴輪。

 

記念物と埋蔵文化財とでは指定における視点の違いがあるそうだ。

 

文化庁のサイト

http://www.bunka.go.jp/gyoji/1416731.html

 

江戸東京博物館のサイト(東京展では「道灌が見た南武蔵」のコーナーもあり)

https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/project/25223/%E7%99%BA%E6%8E%98%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%97%E5%B3%B62019/

 

お見逃しなく!

7月21日までの開催。一般600円(常設展示内)

 

下記に巡回します。
花巻市博物館 2019年8月2日〜9月10日
三内丸山遺跡センター 9月21日〜11月4日
名古屋市博物館 11月16日〜12月28日
大野城心のふるさと館 2020年1月18日〜2月26日