墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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歴博・先史古代展示(国立歴史民俗博物館 総合展示第1展示室) @佐倉

まだ桜が咲き始めの3月末、3年近くの工事期間を経て新装となった歴博の先史古代展示室を見学しましたが、桜の写真だけ載せて展示内容は後回しにしていました… 

 

リニューアルオープンは3月19日。1983年の開館以来の大規模改修。

 

日本列島に人類が現れた3万7000年前から10世紀の中世までをカバーする展示室。

まずは旧石器時代のコーナー。右の列の方々は革なめしをしているご先祖?のマネキンです。

 

以前に上野で見たラスコー展に勝るとも劣らないリアルさ。

 

落とし穴で狩りをする様子は獲物目線で。

 

宮崎県の王子山遺跡(縄文草創期 約1万3400年前)の集落模型。
遺跡には、燻製施設と推定される煙道付き炉穴があったそう。

 

全国の縄文土器がずらり。

 

三内丸山の大型住居ジオラマ。

 

そして土偶たち。ほとんどの展示物はレプリカだが、オーラが感じられるほど精巧にできている。

 

「中空土偶」として有名な、北海道・著保内野(ちょぼないの)遺跡の「あごに入墨が表現された土偶」(約3500年前) 実物は国宝。下は土製の仮面。

 

山梨県・鋳物師屋遺跡の「妊産婦を表した土偶」(約5000年前)

 

膝をくずして赤ちゃんを抱く土偶。東京都宮田遺跡(約5100年前)

 

前回エントリにも載せた「座産の様子を表した?土偶)福島県上岡遺跡(約4000年前)

 

土偶コーナーはリニューアル前にも魅せられていた。

 

そして時代は弥生へ。

紀元前10世紀頃から、朝鮮海峡をわたって水田稲作文化が伝わってきた。お墓の形も変わる。

 

弥生女性と縄文女性の等身大モデル。

 

弥生人の心をつかんだ銅鐸。

 

人面付きの弥生土器。

 

弥生の武人は木製のよろい(岡山県南方遺跡 紀元前3世紀)

弥生猫も見られます。 

 

弥生といえば環濠集落。太平洋側では現在の利根川が北限になっている。

 

大阪府の瓜生堂遺跡、弥生中期の方形周溝墓の模型。隅丸四角の墳丘に複数の棺が埋められている。

 

弥生時代の特殊器台は、壺とそれを置く器台の1セット。主に首長の墓での祭祀に使われたと考えられ、円筒埴輪へとつながっていく。岡山県中山遺跡出土のレプリカ。

 

 その次の古墳時代は、東アジアの国情勢係の影響を直接受けるようになる。

 

通路のセンターに箸墓古墳の模型。ケースには三角縁神獣鏡などが。 

 

「前方後円墳と倭王権」のコーナー。

 

一番手前には古墳時代前期(4世紀)造立の佐紀陵山古墳(奈良県)の250分の1模型。

その裏面にある解説。

佐紀陵山古墳のころ

前方後円墳が出現して100年ほどたった4世紀野中ごろには、九州から東北南部まで広くひろがる。墳丘長70m以上の大型前方後円墳は近畿のほか、中部や関東などの東日本に多く分布する。

 

前期古墳の副葬品は鏡や腕輪形石製品、武器など。倭王権が生み出した竪穴式の石室や棺、埴輪などの祭式が各地へひろまった。

 

この大きな盾形埴輪も佐紀陵山古墳(日葉酢姫命陵)のもの(実物) 

 

水まつりのイラストと、そのような祭祀を表したと考えられる大阪府藤井寺市の狼塚古墳出土の囲形埴輪の展示も。

水のまつり
王にとって最も重要な祭祀が、水のまつりだった。水の湧く井戸や、清水を流した木製の樋、槽に、石・鉄・木などでつくる呪具や玉類を捧げた。それは小屋や囲いの中でおこなう「秘儀」であった。

 

続いて古墳時代中期(5世紀)・上石津ミサンザイ古墳(大阪府・履中天皇陵)の250分の1模型。 

 

その裏面の解説。

上石津ミサンザイ古墳のころ
前方後円墳の大型化は5世紀前半に頂点に達した。100mを超える大型前方後円墳の数は限られ、特定の場所に築かれた。200m以上の巨大なものは、大阪平野の百舌鳥・古市古墳群に集中し、他は瀬戸内中部(吉備)や関東北部(毛野)に限られる。

 

中期(4世紀初頭~5世紀後半)の古墳には、倭王との関係を示す長持形石棺や東アジアの影響を受けた横穴式石室があらわれ、副葬品は武器や武具に代表されていく。各地が対外交流を進めた事情を反映して、独自の埋葬施設や副葬品が現れるともあった。

 

大阪府長原高廻り2号墳出土の船形埴輪も古墳中期(5世紀)

 

古墳時代後期からは今城塚古墳の250分の1模型。前方部の裾が大きく広がった。

今城塚古墳のころ
6世紀後半に大型前方後円墳の数は絞られる。100mを超える古墳は近畿の他に福岡と愛知と群馬のみである。九州以外の西日本や中部で減少するが関東では急増し、6世紀末までつくり続けた。

 

 副葬品の展示は木更津市の金鈴塚古墳から。

 

金銅製剣菱形座金具付鈴(重要文化財)の実物。

 

同古墳出土の、美しい「双龍環頭大刀」の実物もあった。

金の鈴は木更津の博物館で見られる。

金鈴塚古墳は石室廻りの一部しか残存していない。

 

6世紀後半の埴輪として、綿貫観音山古墳の男女の埴輪(レプリカ)もあった。

古墳巡りを始めたころに訪ねた石室。もう6年近く経ってしまった。 

 

 

古墳(倭)の北縁、南縁の詳しい解説も。

 

世界遺産、沖ノ島の展示も充実。

 

実物大の祭祀遺跡レプリカ。 

 

朝鮮半島の倭系古墳の展示も。

 

朝鮮半島南西部の栄山江流域には前方後円墳がいくつも残っている。 

いつの日にか現地を訪ねたい。 

 

奈良県石上神社に伝わる七支刀のレプリカ。

第1展示室はこのほかにも飛鳥・奈良・平安時代へと続く。

このような大規模な展示室は第6まであるので、すべてを一日で見学するのは無理でしょう。

自分は先史古代の前半だけでお腹いっぱいになりました…

 

少し覗いた第6展示室。

戦時中の兵舎(当地佐倉のこのあたりにあった)

 

昭和の団地。

 

入館料は一般600円。

https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/regular/room1.html 

 

桜がきれいでした。