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墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

慶應義塾大学三田キャンパスの建築・彫刻見学ツアー

建築物、公園、街道、坂道

前回のつづきの慶應義塾大学アートセンター主催によるガイドツアー「三田山上で出会う近代建築と彫刻」にて演説館と旧図書館、ノグチ・ルーム以外で訪ねたスポット。 

 

キャンパス全体はそれほど広くはなく10.6haで、TDLの5分の1ほど。

ちなみに公式サイトには建物の絵が描かれたマップが掲載されていてわかりやすい。三田キャンパス:[慶應義塾]

主な建物の説明もある。三田キャンパス:[慶應義塾]

歴史芸術ガイドもpdfで。彫刻等の作品の設置位置も示してあって親切。

https://www.keio.ac.jp/ja/assets/download/maps/mita/201503_guide.pdf

 

 

こちらは、塾監局(じゅくかんきょく)

1926年竣工。曽禰中條建築事務所。

図書館も面する広場が正面で、堂々とした玄関ポーチがある。

 

玄関の右側、建物の北側部分がかつて演説館が建っていた場所。

旧塾監局は関東大震災の被害を受けて取り壊されたが、その際に演説館は南側の稲荷山に移築されている。

 

塾監局の南面。同じ設計者によって14年前(1912年)に造られた旧図書館に較べると少し地味にはなるが、外壁にはスクラッチタイルとテラコッタ、さらに上下開閉窓や2階窓のアーチ、壁に外付けされた柱、屋根のラインなど、装飾は凝っている。

 

こちらは「第一校舎」 三田キャンパスのほぼ中央、広場に面して建つが、樹木が繁っていて外観はつかみにくい。

こちらも曽禰中條建築事務所の設計で竣工は1937年。

図書館や塾監局に比べると、機能重視のシンプルな意匠になっている。

が、壁に外付けされた柱や上下開閉窓など、図書館や塾監局との調和が図られている。1965年に屋上に1フロアが増築されるまでは、周囲と同じ3階建てだったとのこと。

 

建物前の広場にも大銀杏が枝を広げている。

 

第一校舎内部の中央部分には3層吹き抜けの階段ホールが設けられていた。戦前の建物だが「災害避難時」のことも考えられていた。

 

2階の教室。現役の教室だが夏休みなので見学できた。 

 

こちらは1階の中廊下。

 

 

広場を取り囲む他の建物については、外の木蔭で説明を伺った。

 

こちらが現在の図書館。

設計は槙文彦で1981年に竣工。地上7階だが地下は5階まである。

8.1m四方のキューブが”モジュール”となっているそうだ。入口の空間やその上の凹んだ部分などはキューブが抜かれて広場側からの圧迫感が軽減されている。

 

図書館に面した側(写真奥)は、旧館の八角塔をイメージした意匠が取り入れられている。

 

図書館と広場を挟んで相対する地上9階の大学院校舎。

こちらの設計も槙文彦で、1985年に125周年事業の一環として竣工した。

1~3階に教室、4階以上が大学院演習室などの研究スペースとなる。

4階から上の上下開閉窓は南の演説館と通じた意匠、3階までは図書館と相通じるキューブの意匠が取り入れられている。

 

図書館入口に向かい合うところには外階段のついた開口部が”呼応”している。

 

以下は、ツアーに含まれていた絵画・彫刻作品群になります。

「デモクラシー」 猪熊弦一郎 1949 油脂塗料・シナ合板

 

もともと谷口吉郎の「建築交響詩」の一環として、学生ホール(1949年築)内の食堂壁面に描かれていたが、1992年に学生ホールが取り壊しとなり移設された。画面の形は旧ホールの壁面の形状に沿ったもの。

 

「星への信号」1984年 元塾生、飯田善国の作品。

両側のステンレス柱が風で動くキネティックアートで、作者は「無限と地上との媒介者としてそこに佇立している」と語っている。

他に図書館エントランスにも、同作者による「知識の花弁」が置かれている。

 

「青年像」1948年  菊池一雄の作品。

かつては旧4号館前の庭園の中心に置かれていた。谷口吉郎が展覧会で見てひとめぼれした像。モデルは従軍して喉をつぶした声楽家志望の学生。

 

平和来(へいわきたる) 1952年 朝倉文夫の作品。

1932年度の卒業生によって1957年に寄贈された作品で、学徒動員で戦死した学生の慰霊の意味が込められている 。学徒動員時の塾長・小泉信三の「丘の上の平和なる日々に往きて還らぬ人々を思ふ」との碑文が台座にある。

 

各建築物はそれ単体でも見ごたえがありましたが、解説を受けると、さまざまな時代に全体デザインの調和と、その時々に要請された学び舎としての機能を考え抜いて造られたものであることを実感できました。

彫刻についても、単なる芸術作品としてではなく、それが語りかけてきている、学問できる場があることのかけがえのなさを感じることができました。

 

慶應義塾大学アート・センターの関係者のみなさま、大変貴重な機会を設けていただき誠にありがとうございました。