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墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

「地形で読み解く鉄道路線の謎」 竹内正浩著

たまたま手にした本ですが、ハマりました。

明治~昭和初期の古い時期と比較対象できる地図、高低差を3~5m単位で色分けした地形がわかりやすい地図がふんだんに掲載されている上に、豊富な現地写真や昔の写真資料もあって、思わず引き込まれてしまいました。

地形で読み解く鉄道路線の謎 首都圏編 (単行本)

地形で読み解く鉄道路線の謎 首都圏編 (単行本)

 

 

下記は、イントロダクションの「鉄道地形論」の最後に書かれている文です。

本書は、草創期の鉄道がいかに敷設されたか、とりわけいかに地形に目配りをしたかについて、解明する目的で編まれた。

日本に鉄道が敷かれた時代は、今と違って車両は重く、馬力もなかったわけで、地形を読まずには敷設できなかったことに、あらためて気づかせていただきました。

 

「首都圏編」ですので、山手線周り、私鉄ターミナル駅、荒川放水路周り、新京成線横須賀線などがテーマでしたが、特に興味深かったのは「下総台地を走る京成線が曲がりくねった真の理由とは」の章。

 

はじめて地図で新京成線を見たときに、その見事な曲がりくねり具合に見とれましたが、自分はこの本で「俗説」として扱われている「鉄道連隊の演習目的でわざとカーブを多くした」ことがその理由だと思っていました。

実際に新京成線の成り立ちは「津田沼の鉄道第二聯隊の演習線」がベースです。

 

しかし著者は「新たな発見」をし、それを本書で提示されています。

それは「古い地形図を見ていたら平坦と思われた下総台地にも何本の沢が刻まれていて」「軍用軌道は東京湾に注ぐ水系と、太平洋に注ぐ利根川水系とを隔てる”分水界”を縫うように巧妙に敷設されている」という大変興味深い仮説です。

 

地形図で路線をトレースしたら「もともとの演習線は50kmにおよぶ路線だったが、そのうち橋脚で川をまたぐのはわずか2ヶ所」しかなかったそうです。

 

ほかに下記の仮説も提示されています。

・「このあたりの随所に残っていた江戸時代の牧(まき:軍馬の放牧場)の野馬除土手に配慮した結果ではないか

・鉄道聯隊に「45キロをもって一運転区大隊を編成」という規則があったのでカーブで距離を稼いだのではないか

 

真の理由が解明されれるかどうかはわかりませんが、いずれにしても「曲がりくねっているから開発地域を極大化させ、巨大団地を出現させた」との考察も面白かったです。

 

冒頭に引用した文の後の「ぜひ現地に赴き、ご自身で確認していただきたい」という言葉に誘われて、かつての橋脚跡を見に行くことにしました。

 

次回につづく。