墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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特別展 仁和寺と御室派のみほとけ~天平と真言密教の名宝~ @東京国立博物館・上野

真言宗御室派の総本山仁和寺と全国各地の御室派寺院の仏像や書画の名品を集めた展覧会が東博で始まったので、金曜日の夜間開館時に見に行った。

 

京都の仁和寺は、仁和4年(888)に宇多天皇が開山した真言密教の寺院で、宇多法皇が出家後に御室(僧坊)を造営して隠棲したことから「御室(おむろ)御所」と呼ばれ、国宝・重文の建築群や書画・彫刻・工芸品を有し、古都京都の文化財として世界遺産にも登録されている名刹。

 

今回、江戸時代に再建された観音堂(通常非公開)の改修工事にあたって本展が開催されることになり、観音堂の仏像33体(千手観音菩薩立像・降三世明王像・不動明王立像・二十八部衆立像・風神雷神立像:いずれも江戸期の作)が、高精細画像で再現された壁画とともに展示されていた(本展示室のみ撮影可)

 

実際にお堂の中にいるような荘厳な雰囲気。

 

右端には雷神様。

 

背面の壁絵だけでなく、裏側通路の壁画も精密に再現されていて驚いた。まるで壁をはずして持ってきているようだった。

 

これら仏像も修復を終えたばかりのようだった。

 

ひな壇に居並ぶ二十八部衆を横からも拝観できる。

 

本展は”目玉だらけ”の感があって、創建時の本尊「阿弥陀如来座像および両脇侍像」(国宝)や秘仏の「薬師如来座像」(国宝)や、全国の御室派寺院から端正な顔立ちの大阪・道明寺の「十一面観音菩薩立像」や徳島・雲辺寺の「千手観音菩薩坐像」、御開帳は33年に一度しかない福井・中山寺の「馬頭観音菩薩坐像」などの秘仏(いずれも国宝や重文)を間近で見ることができた。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1868#top

 

福井・明通寺の降三世明王立像・深沙大将立像(平安期・重文)はどちらも高さ2.5mの迫力の像で、こちらはいつか現地で拝観したい気持ちになった。

https://myotsuji.jimdo.com/%E6%98%8E%E9%80%9A%E5%AF%BA%E3%81%AE%E6%96%87%E5%8C%96%E8%B2%A1/

 

ポスターにある大阪・葛井寺(ふじいでら)の国宝「千手観音菩薩坐像」は8世紀奈良時代の乾漆造りで実際に千本以上の手を持つ。2月14日からの展示になるが、お寺でもご開帳日は限られる(毎月18日と8/9) 貴重な機会なので特別展を再訪したい。

http://www.fujiidera-temple.or.jp/kokuho.html

 

彫刻以外でも、国宝の孔雀明王像や京博所蔵の十二天像(国宝)、奈良の子島寺の両界曼荼羅(国宝)などの仏画や、高倉天皇の自筆手紙・宸翰消息(しんかんしょうそく:国宝)や弘法大師空海の自筆部分もある「三十帖冊子」(国宝)などの名宝の数々が展示されている。

昨年いくつか見た展覧会の中では秋の運慶展がベストと思われたが、今年はいきなりベストが来たように感じた。

 

特別展を見た後、常設展示コーナーへも。

考古展示室入口のガラスケースには群馬県伊勢崎市豊城町の横塚古墳出土の「盛装女子」(6世紀・重文)

 

本館2階の「踊る人々」は埼玉県熊谷市の野原古墳出土(6世紀)

近年では馬の手綱を曳く2人の男子像の可能性が指摘されている、とキャプションにあった。一番有名な埴輪だろうが、埴輪の中では特異な顔かたちでは。

 

こちらもガラスケース内展示の「挂甲の武人 」

栃木県真岡市の鶏塚古墳出土(6世紀)

 

凛々しい横顔。色彩がかなりきれいに残っている。 

 

東博所蔵の国宝コーナーでは1月28日まで「釈迦金棺出現図」(11世紀)が展示されている。

 

当コーナーの2018年のスケジュール。春に展示される「花下遊楽図屏風」(狩野長信筆)が楽しみ。