墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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シャセリオー展~19世紀フランス・ロマン主義の異才 @国立西洋美術館

上野の国立西洋美術館で「シャセリオー」展を見ました。 

 

国立西洋美術館の公式サイトなどによれば、テオドール・シャセリオー(1819~1856)は19世紀のフランスで、印象派が華ひらく前のロマン主義を代表する画家。

弱冠11歳で古典主義の重鎮・アングルに弟子入りし16歳でサロンに入選するほど腕を上げましたが、その後ドラクロワに影響を受けてロマン主義へ向かいます。アルジェリア旅行などを経て東方を主題とする作品も多くオリエンタリスム(東方趣味)の画家にも数えられるとのこと。

惜しくも37歳で病没しましたが、 数歳下となるギュスターヴ・モロー(1826~1898)やピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824~1898)らに大きな影響を残しています。

 

ルーブル美術館所蔵品を中心に、シャセリオーだけでなく師や影響を与えた画家たちの作品も並ぶ、日本初の回顧展となるそうです。

 

入場券売り場の隣のポスターは16歳で描かれた自画像。

 

※以下の2枚の写真は展覧会主催者から提供された公式写真です(内覧会へ行く機会がありました)

 

ポスターに一部が拡大して使われている「カバリュス嬢の肖像」(1848年・カンペール美術館所蔵)は、当時のパリで最も美しい女性といわれていた女性を描いています。手に持つ花束はスミレ、髪につけられた生花は水仙とのことです。

 

横幅2mを超える「泉のほとりで眠るニンフ」(1849年)のモデルは、画家のお相手でもあった社交界の華、アリス・オジー。

時代のお約束としてニンフに見立てられていますが、体温が感じられるほどに生々しいオーラでした。

左の方の後ろに、構図の似たクールベの作品が架かっています。

 

古典主義アングルの確かなデッサンの力に、ロマン主義ドラクロワの色彩が加わるとどうなるのかが、シャセリオーによって具現化されていることを知りました。

 

代表作であったであろう、会計検査院の大階段壁画(1844~1848)が、パリ・コンミューンの騒乱で焼失してしまったことは非常に残念であり、37歳で夭逝しなければ、その後の近代絵画の歴史にも、大きな足跡を残していただろうと思われました。


会期は5月28日までです。