東京都美術館で開催中の「東京都現代美術館所蔵 新東京百景~90年前の東京」展を鑑賞。
入場無料。地下へ降りたギャラリーBが会場。
「新東京百景」は昭和4年(1929)から刊行された版画シリーズ。関東大震災から復興し始めた新しい都市風景が、昭和の木版画を代表する創作版画家8人によって”ノスタルジアと愛情あふれる視線”で描かれている。
8人とは、前川千帆(1888~1960)、藤森静雄(1891~1943)、恩地孝四郎(1891~1955)、逸見享(1895~1944)、平塚運一(1895~1997)、川上澄生(1895~1972)、深沢索一(1896~1947)、諏訪兼紀(1897~1932)
百景すべてが揃っていたかは確認しなかったが、1929年から30年代初めに描かれた当時の東京名所を見ることができる。
世界恐慌の直後の時代だが、関東大震災を乗り越えた平和で明るい日常の気分が伝わってきた。
サイズはどれも18cm×24cmほど。一部の作家を除いて撮影可となっていたので、気になった作品を。
前田千帆による「品川八ツ山」
京急の軌道が、まだ道路上を通っていた時代か。
「水上公園(台場)」前川千帆
何もなかったお台場で対岸の港湾見物。
「五反田駅」前川千帆
池上線の橋上駅もしっかり描かれている。周囲にビルの無い時代には遠くからでも電車が見えただろう。
「上野動物園」恩地孝四郎
ここの風景は変わっていないのではないか。
「ニコライ遠望」藤森静雄
聖橋を神田川北岸から見たところか。広い空。
「永代橋」藤森静雄
重要文化財となった永代橋。鉄骨アーチの中での作業で保全されている。
重要文化財「永代橋」 アーチ内側から補強で長寿命化 :日本経済新聞
「牛込見附」逸見享
左が中央線か。ボートを漕ぐ人眺める人。神楽坂下のボートハウスは戦前からあったことを知った。
「神楽坂」逸見享
この賑わい!
「四谷見附の雨景」逸見享
この佇まい!
「言問橋」深沢索一
下の作品とセットならば、パリのよう。
「昭和通」深沢索一
「芝浦ハネ橋」諏訪兼紀
こんな素敵な跳ね橋があったとは。
「深川塵埃焼却場」諏訪兼紀
塵埃焼却場が百景に入っているとは。
ほかにも興味深い作品が数多くありました。
明後日の1月23日(月)までですが、ティツィアーノ展も始まりましたのでこちらにも寄られるとよいかと思います。