墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「これだけは見ておきたい 世界のお墓199選」 ローレン・ローズ著

2021年7月に、国書刊行会から刊行された本です。

定価7,840円ですが、自分は図書館で借りました。

 

 裏表紙のコピーは「世界で最も興味深く珍しい墓地への、心に残る美しいガイドブック」

 

199の構成は、アメリカ・カナダで100箇所、中央・南アメリカが11箇所、ヨーロッパ55箇所、中東・アフリカで16箇所、アジア・オーストラリアで17箇所。

それぞれに美しい写真と詳しい解説があり、ギザのピラミッドやタージマハル、ペトラ遺跡、兵馬俑、アイルランドのニューグレンジも載っています。

日本では高野山奥の院、泉岳寺、横浜外人墓地、広島平和公園、雑司が谷霊園も紹介されていますが、なぜか「古墳」が一つも無し。

どの古墳が載っているかが楽しみで本を手に取ったのですが、なぜ…

 

199箇所ある中で、土盛りがあるのはニューグレンジの他に、サットン・フー(イングランド サフォーク州:7世紀~)、ボッレハウジーン・バイキング墓地(ノルウェー ボッレ:9世紀後半~10世紀)、クングサーガルナ王家墳墓群(スウェーデン ガムラウプサラ:5世紀~6世紀)、ミケーネ遺跡(ギリシア ペロポネソス:紀元前16世紀)が紹介されていました。ミケーネは別格として、どれもバイキングが関連しているのが興味深いと思いました。

 

ニューグレンジの世界遺産は7年前に訪ねました。

 

ストリートビューで、ちょい旅も。

サットン・フー @イングランド

 

ボッレハウジーン @ノルウェー

 

ガムラウプサラ @スウェーデン

 

著者のサイトでは「Cemetery Travel(墓地旅?)」という言葉がありました。「墓マイラー」より良いかも?

Cemetery Travel: Your Take-along Guide to Graves & Graveyards Around the World

 

朝光寺原古墳(の辺り) 神奈川県横浜市青葉区市ケ尾町

市が尾駅近くには、南側に徒歩8分の朝光寺原遺跡(古墳跡)もあります。

 

住宅街の一画、南東向きの台地端斜面に残された貴重な緑。

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古墳のような膨らみですがちがいます。

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そのすぐ先の南東には東名高速の隔壁が。

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そこから振り返って。あずまややベンチが近隣のご家族に活用されています。

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検索で出た古墳マップさんをスマホで見ながら公園内をうろうろ。

朝光寺原1号墳 - 古墳マップ

1号墳としてピンが立つのはこのあたりですが…

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あとでグーグルマップのクチコミを読むと、公園の西150mほどにある朝光寺との間にあったものが、宅地開発で削平されてしまったようです。

公園内に説明板が立っているようですが見逃してしまいました…

 

横浜市歴史博物館のサイトに、朝光寺原古墳群の解説と、出土した見事な武具の写真がありました。

朝光寺原古墳群出土遺物一括 | 横浜市歴史博物館

弥生時代中期の環濠集落を中心とした朝光寺原遺跡の中で発見された3基の円墳から成るそうで、昭和42年の発掘調査で発見された遺物~眉庇付甲・三角板鋲留短甲・鉄剣・鉄鉾・鉄刀・鉄鏃などの武具類や馬具、臼玉・勾玉などの玉類により、1号墳は5世紀後半、2号墳は6世紀前後、3号墳は6世紀前半の築造と考えられるとのこと。

眉庇付甲・三角板鋲留短甲は関東地方でも出土例は少なく、神奈川県下では唯一例だそう。

 

見落としてしまった現地説明板をグーグルマップで見ると、標高25~45m、200m×400mの範囲にある朝光寺原遺跡では縄文から奈良時代以降までに渡って遺構が多数発見され、弥生時代中期での環濠集落遺跡は関東地方で初めて明らかとなったもので竪穴住居跡59軒、方形周溝墓18基の規模で発掘されたとのこと。

弥生時代後期の竪穴住居跡からまとまって出土した櫛目状の工具でつけられた文様をもつ土器は、新たに「朝光寺原式土器」という形式が設定されたそうです。

 

以前に横浜市歴史博物館を訪ねた際に朝光寺原遺跡出土の弥生土器の写真を撮っていました。

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平成26年度横浜の遺跡展「古墳の出現-横浜の集落遺跡と前期古墳ー」、及び関連講演会「ヤマタイ国時代の東日本」 @横浜市歴史博物館 - 墳丘からの眺め

朝光寺原式土器は中部高地系の特徴を持っているのですが、弥生時代終末期に東京湾岸系(久ヶ原式)に置き換わっていった、というっ興味深い講演内容でした。

 

市ケ尾町公園は先ほどの広場の北側がちょっとした山になっています。

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公園内での高低差は30m。頂上は標高60mで南東方向が遠くまで見渡せました。

右奥の緑の帯の手前が鶴見川だと思います。

縄文時代から人々が好んだスポットになりますね。

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すぐ下には東名高速。その下まで降りる階段がありますが今回は見るだけで。

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そこから北東方向。右下の高速は切通しになっていますが、こちら側は標高60m前後の台地が広がっていました。

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