墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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熊野摩崖仏 大分県豊後高田市田染平野

熊野摩崖仏の駐車場(胎蔵寺)へは真木大堂から車で5分ほど。改めてグーグルアースを見ると結構山深いところにある。

 

駐車場脇の窓口で拝観料300円を納め、沢沿いの参道を上がっていく。速足で10分程度だったが最後が急登で息が切れた。

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ときどき参道を沢蟹が横切るので、踏まないように気を付けた。 

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この鳥居から傾斜がきつくなる。 

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自然石を積んだ石段には、鬼が築いたとの伝説がある。

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吹き出す汗をぬぐいながら登った先に摩崖仏。

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微笑んでいるかのようなお不動さん。

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現地の解説板。 

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熊野摩崖仏
所在地:豊後高田市大字平野字登尺
国史跡指定:昭和30年2月15日
国重要文化財指定:昭和39年5月26日
解説
大岩に刻まれた仏は向かって右が大日如来、左が不動明王で、熊野摩崖仏とよばれている。
大日如来は、6.8m、如来にふさわしい端正な顔形で、頭部上方には3個の種子曼荼羅が刻まれている。
不動明王は、8m、憤怒相ではなく柔和な慈悲相であるのは他の石仏にみられない珍しい例である。
六郷満山諸勤行注進目録や華頂要略などにより摩崖仏は藤原時代末期(約900年前)の作と推定されている。
厚肉彫りの雄大、荘厳な摩崖仏であるため国指定史跡でありながら美術工芸品としての価値が高いものとして国の重要文化財指定を併せ受けたものである。
伝説では、摩崖仏は養老3年(718)仁聞菩薩が設立したと伝えられ、近くの山中には「御所帯場(ごしょたいば)」とよばれる作業時の宿泊跡がある。また参道の自然石の乱積石段は鬼が一夜で築いたと伝えられる。
熊野摩崖仏管理委員会 宗教法人熊野社

 

平安末期に彫られ、900年も風雨にさらされてきたにもかかわらず、しっかりと残っている。

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 横から見てもしっかりわかる。浮彫りや線刻ではなく、立派な石造。

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不動明王のすぐ右、少し高い位置に大日如来。 

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螺髪までしっかり残る。こちらの方が不動明王より前に彫られている。

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荘厳だが、口元の印象が不動明王とくらべると冷たい感じか。

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さらに少し石段を上がると熊野神社。

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下りの石段は慎重に降りた。 

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熊野摩崖仏から国道へ向かう途中、遠くに勇壮な山が見えたので車を停めて一枚。

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由布岳か。 

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そのまま国道10号を北西に上がって宇佐市に入り、大分県立歴史博物館を訪ねた。

入ってすぐに、今みたばかりの大日如来の原寸レプリカ。

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頭の上の曼荼羅もわかる(曼荼羅だけのレプリカが手前にも)

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県立博物館にあった熊野摩崖仏の解説。 

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熊野摩崖石仏については、安貞2年(1228)の記録に「本尊不動尊、五丈石身、深山、真明如来の自作」「本尊大日、五丈石身、深山、同尊種子岩切顕給也」とあり、不動・大日の両像が少なくとも鎌倉初期の頃までには存在していたことが明らかである。大日如来は、螺髪を刻むなど偉容の点から、むしろ通常の如来形を示しており、これは新仏教である天台密教が、その教義を流布させるために、なじみやすい旧仏教の如来諸仏をその主尊である大日如来に見立てたためとも考えられる。大日如来が、大粒の螺髪など、大陸系の摩崖仏を思わせるような大づくりで明快な像容を示しているのに対して、不動明王の方は、省略的でむしろ柔和な相貌をしており、両者の間には時代的な隔たりがみられる。いずれにせよ、国東半島における熊野修験発祥の地に、天台密教の主尊である大日如来と修験道の本地仏不動明王が並んで刻まれるのは象徴的である。

真木大堂 大分県豊後高田市田染真木

真木大堂は、富貴寺から車で8分ほどの場所にある。 

 

道路の向かいの広い駐車場に停める。仏像は中央奥の収蔵庫に収められていた。

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拝観券売り場でくつろいでいた猫。お邪魔しました。

拝観料は一般300円。

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いただいたパンフの「真木大堂」の説明。 

真木大堂は六郷満山65カ寺のうち本山本寺として36坊の霊場を有した幻の最大の寺院であった馬城山伝乗寺のことである。

奈良時代元正天皇の養老年間に仁聞菩薩の開基で悲陀の匠が建立したと伝えられているが、仏像の作風からみて平安時代と思われる。往時は広大な境内のなかに七堂伽藍を備えて隆盛を誇った大寺院であった。

 約700年前に火災のために焼失したが、現存する9体の仏像は当時の人々の厚い信仰と守護のもとに難を免れて今日に至っている。この9体の仏像には、前例を捧げ尽くして作られた方々の魂がこもっている。

大正7年に国宝に指定され、昭和4年に大修理、昭和25年8月29日に重要文化財に指定された。平成20年収蔵庫改修、仏像修復された。

付近には、隋願寺、成願寺、釈迦堂、芝堂、閻魔堂、黒草堂、城山四面仏等々あり、付近の畦畔には、石碑、石塔などが散乱しているのをみても昔の寺坊が各所に散在し往時の規模宏壮が偲ばれる。

現在の真木大堂は、伝乗寺の各寺坊が衰退したので本尊をこの一堂に集めたものである。

 

収蔵庫内は撮影禁止。ガラス越しに拝観するが、9体並ぶ仏像群に圧倒された。すべて国指定重要文化財。

下記は購入した絵葉書から。

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中央の阿弥陀如来は像高216㎝。いわゆる丈六の坐像で、檜材の寄木造り。彩色や金箔も一部残る。

四方に四天王像も像高160㎝前後ある。

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その右の不動明王の立像は高さ255cmで木彫不動像では国内最大。

榧の寄木造りだそうだが、背後の火炎(先が鳥の頭になっている迦楼羅焔:かるらえん)が素晴らしかった。

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左右には制咜󠄀迦童子と矜羯羅童子。

 

阿弥陀如来の左には大威徳明王像。像高241㎝で、大威徳明王像としては国内最大となるそう。牛(水牛)がデカい。

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収蔵庫は貸し切り状態で、 平安時代の素晴らしい仏像を堪能させていただきました。

 

上記のデータは公式サイトから引用しました。

http://www.makiodo.jp/budda.html

 

収蔵庫の後ろには馬城山展望台・金毘羅宮への石段があるが、30分かかるとあったので次の機会とした。

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その先には、石造物を集めた公園も。

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東屋にあった解説。

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時間がおしてきたので、ここも次の機会とした。 

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駐車場で車に戻る際に視線を感じたら…

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駐車場の柵の先の景色も素晴らしかった。 

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このあたり「田染荘(たしぶのしょう)」には、墾田永年私財法(743)以来、宇佐八幡宮の荘園として、水田や集落の形が千年変わらず残っているのだそう。北西に車で5分ほどのところに展望台もあったが、南に5分とあった熊野摩崖仏へ行く方を選んだ。

https://www.showanomachi.com/special/tashibu.html