墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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遠藤利克展 ー聖性の考古学ー @埼玉県立近代美術館

”現代の日本を代表する彫刻家”である遠藤利克(1950〜)の個展は、関東では25年ぶりとのこと。

自分は以前、越後妻有トリエンナーレで2つの対照的な作品を見て強い印象を受けた。

水を閉じ込めた作品は松之山の「森の学校キョロロ」で。

massneko.hatenablog.com

 

もうひとつは「清津倉庫美術館」で展示されていた、炭になった巨木の舟。

massneko.hatenablog.com

 

副題にも惹かれて早く見たいと思っていた。

 

展示室の外、通路一杯に置かれた「空洞説ー丸い沼」2014年作。素材は木、タール、そして火。

 

内側は丸く刳り抜かれている。表面に塗られたタールの臭いも生々しい。

 

吹き抜けスペースに置かれた「空洞説ー薬療師の舟」2017年作も撮影可だった。

 

置かれた地下1階で見るとかなり大きい。

 

側面を。

 

地下1階には舟の焼成映像も展示されていた。

 

素晴らしい展示だった。

作品点数は12点で、「泉」(東京都現代美術館蔵)を除きすべて作家蔵。

どれも圧倒的な存在感を発していた。

 

展示室の造りの工夫もあるのだろうが、作品が発するパワーが尋常ではなく感じられた。こればかりは言葉でも画像でもVRでも伝わらない類のもので、その場で体験するしかないだろう。

通路を抜けて立ち並ぶ円柱を見たときは思わず声が漏れた。たまたまこの日その時間の観客は数人だったが、他の方から出た静かな「おーっ」も聞こえた。

おすすめです。

 

7月15日から8月31日まで。一般1100円だが、ぐるっとパスで「入場」できる。

公式サイト

www.pref.spec.ed.jp

没後40年 幻の画家「不染鉄」展 @東京ステーションギャラリー

たまたま手に取った案内チラシにあった「山海図絵」(大正14年・木下美術館蔵)に惹かれ、久々に東京駅の美術館へ。

 

不染鉄(ふせん てつ:1891~1976)は、小石川の光円寺の住職・不染信翁の子として生まれたが日本画を学び、学校(現・京都市立芸術大学)を首席で卒業したり帝展に何度も入賞したりと高い評価を得ながらも、画壇を離れて”飄々と”絵を描き続けた異色の日本画家。

没後40年展だが前回の回顧展は21年前、東京での開催は初とのこと。

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201707_fusentetsu.html

 

展示作品は120点ほど。上記の公式サイトでは「鳥瞰図と細密画の要素をあわせ持った独創的な世界」と評されているが、大きな画面(186×210cm)に富士を描いた「山海絵図」には人々の暮らしや海中の魚までが細かく描きこまれ、圧倒されてしまった。

 

風景画がほとんどだが、故郷の光円寺のあたりや漁師として暮したことのある式根島、その後に暮した奈良の西ノ京などが、ノスタルジックに描かれる。

図録の解説には洛中洛外図やブリューゲルのバベルの塔なども対比の例として挙げられていたが、画面に近づいて描かれている家並みを見ていくと、家の中で寝転んで本を読む人などが見えてきたりするのがとても面白かった。

 

不穏な雰囲気が漂う廃船のある風景。 

 

絶海の孤島を描いているが、島の中腹には人の住む集落がある。

おすすめの展覧会だと思います。

8/27まで、月曜休館。10時~18時で金曜は20時まで。一般900円。 

 

インターネットミュージアムで展示室の様子が詳しく紹介されている。

http://www.museum.or.jp/modules/topics/index.php?action=view&id=963

 

 

久々に東京駅丸の内口に行くと、かなり整備が進んでいた。

 

 自撮りの人々が絶えない。

 

 

樹木の周囲に大きな石のベンチ。

 

新宿駅西口のような地下へのスロープが2ヶ所あるが開口部は小さく、行幸通りの起点として芝生もある広場が整備されている。完成は今年2017年の冬。