墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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温之浦古墳群 鹿児島県出水郡長島町平尾

温之浦(ぬくのうら)古墳群は、長島の北西側、天草市下島との海峡側の立地。

 

グーグルマップのピンを目指して細い道を入っていくと、駐車場もある整備された古墳でした。

目の前は入り江で、右奥に下島、その手前の三角が戸島です。

 

道路の下側斜面に1号墳~3号墳が並びます。

 

こちらが温之浦1号墳。

 

南側に回り込むと開口部が。(左上が駐車場)


墳丘が石で積まれている「積石塚」です。

 

玄室の様子。平石を立てた上に、板石をドーム状に持ち送っています。


室内平面は1.6m四方。

 

奥壁を背にして。入り江が良く見えます。

 

詳しい解説もありました。

史跡 温之浦(ぬくのうら)古墳群
長島町指定記念物
昭和43年8月20日指定
ここの小字名を温之浦といい、温之浦古墳群は地名をとって名付けられた。
温之浦古墳群は3基が現存しており、いずれも横穴式石室を有する積石塚である。発掘調査は昭和41年8月、池水寛治氏(当時出水高校教諭)によって1号墳~3号墳まで行われた。その当時は右手前方、海に近いところにあと2基の古墳があったが、1~2年後、指定を受けないうちに破壊され消滅した。
温之浦古墳群は、高塚古墳の九州西海岸における南限地帯を示すものとして重要である。

墳丘と石室
温之浦古墳群は3基とも墳丘に石を積み上げており積石塚とよばれる形態で、大きさは7m~7.5mくらいである。
石室は横穴式石室である。石室の中で死者を埋葬する部屋を玄室というが、大きさは1号墳と2号墳が1.6m四方のほぼ正方形、3号墳は奥行2.2m、幅1.8mの長方形である。玄室の側壁は大きな平石を立てて囲い、その上に小さな平石を横にして少しずつ内側にずらしながら積み上げ、天井には大きな平石をのせて閉塞している。
玄室の入口に当たる羨門には大きな石を立て、玄室の床面には平石や礫を敷き詰めている。

出土品と時代
出土品は以下のとおりである。
1号墳…鉄鏃1点、金環3個
2号墳…ガラス製丸玉5個、銀環2個、ガラス製勾玉1個、金銅製把部の縁、完全は刀の鍔、鉄鏃10数点
3号墳…須恵器製品(長頚瓶、坏蓋、坏など)、鉄鏃数点
築造年代は、出土品や墳丘・石室等から、古墳時代後期、6世紀後半と推定されている。

平成の修復
長島町教育委員会はこの古墳群の用地を岩下初氏の協力を得て収得し、平成7年11月、修復を行った。
1号墳は石室は完全な形で残っていたが羨道部分は倒れかけた平石を起こすなどして修理した。2号墳・3号墳は石室の南側の側壁上部が崩れ天井石が落ち込んだりしていたため、北側や東側の側壁に合わせて修理し、天井石を架けた。そのため床面から天井石までの高さは推定とならざるをえなかった。
また、平成8年3月、この古墳群用地を守るため石垣を築き駐車場を設け、標柱等を整備し、一般公開を始めた。
長島町教育委員会 平成8年3月設置

 

おとなりの2号墳。

 

復元されて石室内も見学できます。

 

広角で撮りましたが、平面プランは1号墳と同様の1.6m四方。平石が1号墳より低いですね。


奥壁を背にして。開口部は入り江の入り口側、西を向いています。

 

そのとなりの3号墳。

 

開口部を。

 

室内は奥行2.2m、幅1.8mの長方形プラン。

 

壁の上部はカーブを描く。

 

右が3号墳、中央(標柱の奥)が2号墳、電柱の後ろに1号墳。

 

3号墳から西方向の眺め。

 

次の明神古墳群へ向かう途中で、対岸の丘から振り返った温之浦古墳群。

 

ズームすると3号墳の開口部が写っていました(中央の車の左側)

(2022年9月下旬訪問)