墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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久里双水古墳 佐賀県唐津市双水

唐津の古墳巡り、最後は松浦川を唐津湾から7㎞ほど遡った右岸に立地する久里双水古墳を訪ねました。

墳丘の北東裾に駐車場やトイレ、埋葬部レプリカが見られる公園があります。

 

公園にあった説明板。

復元・整備
学術上重要な発見となった古墳時代初頭の大型古墳、久里双水古墳を、末盧国の象徴的空間として、また、市民の古代文化とのふれあいの場として活かされるように、歴史の宝庫、唐津にふさわしい古墳公園として整備しました。
公園は平成4年から6年までの3年間を「まつらの里日久里双水古墳公園整備事業」として、古墳外観整備、広場の造成、園、便所、休憩所、ベンチ、ライトアップ施設などを整えました。平成8年には、古墳後円部で発見された石室のレプリカを作成し、公園休憩所内に設置しました。それにあわせて、周辺古墳群のひとつ、双水サコ5号墳の箱式石棺も公園内に復元しております。

 

もう一枚。全長108mの前方後円墳として確認されたのは昭和56年になってから。

発見
久里双水古墳は、唐津市双水字サコ2776-1番地にあり、昭和56年4月に労働者住宅生活共同組合の宅地造成事業に伴い、前方後円墳であることが確認されました。大型の前方後円墳なので保存されることになり、造成工事や県道の範囲から外されることになりました。昭和63年1月に市の史跡に指定され、平成元年3月に公有化を実現しました。同年8月に地下レーダー探査による遺構保存状態の調査を行い、平成3年度から3年間、古墳前方部、古墳後円部、古墳墳頂部の範囲確認調査を実施しました。

調査
この確認調査によって全長108.5m、後円部62.2m、前方部幅42.8mで、墳丘築成は後円部と前方部下半部が地山削り出しで、前方部上半部が盛土の自然地形を利用した特異なものであり、しかも年代が4世紀前半までさかのぼる可能性があることがわかりました。

平成5年度の確認調査により、後円部墳頂に隅丸長方形の粘土で覆われた石室が発見されました。平成6年の調査は、遺存状態をファイバースコープによって確認し、粘土被覆された竪穴式石室を調査しました。

 

唐津市のサイトには、その竪穴式石室の詳細も。

粘土床の断面がU字形で両端が反りあがった様子から、安置された木棺が前方後円墳では類例のない舟形木棺であった可能性も指摘されているとのことです

県指定史跡 久里双水古墳/唐津市

 

レプリカは、覆い屋の修復中で見学できませんでした。

 

実測図部分。後円部を南西に向けています。

 

こちらは公園内に移設された双水迫(サコ)5号墳の箱式石棺。

双水迫古墳群
双水迫古墳群は、久里双水古墳前方後円墳につづく南東丘陵に位置する方形、円形の5基の周溝墓群です。墳形は10mから12mの規模で、幅0.4mから1.2mの周溝をもっています。
古墳の主体部は、1号墳が小竪穴式石室、2号墳が土壙、3号墳・5号墳が箱式石棺でした。主体部の一部は盗掘や削平のため完全には残っていませんでした。副葬品は1号墳が鉄剣1、刀子1、3号墳が刀子2で、2号墳の周溝からは土師器が検出されました。また5号墳には良好な保存状態の人骨1体(男)が埋葬されていました。
4世紀後半から5世紀ごろにかけてつくられた古墳群で、久里双水古墳の築造につづく人々の墳墓と考えられます。
こちらには5号墳の石棺を移設して展示しています。

 

それでは墳丘へ参りましょう。目の前の階段の平らな面から上が墳丘で、前方部端をこちらに向けています。

 

南東から見上げた側面。左が後円部、右が前方部。

地山を削り出して築いたとありますが、かなりの高低差。

 

後円部の裾にやってきました。

 

振り向いたところに、双水柴山古墳群の説明板。現地では同じ丘陵の先かと勘違いしていましたが、後で確認すると中央奥の丘陵端(段々畑のように見えるところ)でした。

双水柴山古墳群
久里双水古墳の南側450で、西向きにのびる丘陵に位置し、丘陵の下位より上に向かって2号、3号、1号の順に造られています。2号墳が古墳時代前期(4世紀)の前方後円墳、3号墳が同前・中期の方墳、1号墳が同中期の前方後円墳もしくは円墳・方墳で、それぞれ30m級の規模を持っています。
古墳の主体構造は、2号墳が割竹木棺、3号墳が箱式石棺、1号墳が横穴式石室と箱式石棺でバラエティに富んています。埋葬人骨は3号墳の男女の2体、1号墳に男2・女1の3体がそれぞれ遺存していました。
双水柴山古墳群は墳形、主体部が変化に富んだ内容をもつもので、古墳時代成立時期の唐津・東松浦地方を考える上で重要です。
(表部分省略)

 

後円部の斜面にて。右奥が前方部。墳頂からの眺めへの期待が高まり早足に。

 

久里双水古墳の後円部墳頂から北方向。右奥へ前方部。

 

唐津湾内の島々まで望めます。

 

後円部から西方向。松浦川が目の前に。画面右で徳須江川が合流しています。

 

南側。松浦川上流方向。

 

後円部端から前方部を。

 

前方部へ移動して、後円部側を。

 

後円部に向かって左側面。

 

前方部から北東側。眼下の白囲いは修繕中のレプリカ見学施設。


前方部左裾に降りて。

整った墳丘と素晴らしい眺めに魅せられました。