出雲国庁跡から西に1.2㎞、南から流れ来る意宇川が東に向きを変えるその左岸の丘に、岡田山古墳群などを擁する島根県立八雲立つ風土記の丘(正確には、出雲国庁跡や山代二子塚なども含む東西5㎞×南北4㎞の範囲の総称)があります。
駐車場もある施設で、広い原っぱには復元建物も(その奥に墳丘)
こちらが展示学習館。
入館料は300円。大きな貝輪レプリカをくぐって入りました。
2022年11月20日までは特別展「出雲・石見・隠岐の古墳文化」を開催中。
特別展「出雲・石見・隠岐の古墳文化」 | 八雲立つ風土記の丘
非常に興味をそそられる展示ですが、展示館サイトでは関連の講演会動画がyou tubeで見られるようになっていました。
自分が訪ねたのは昨年で、このときは「令和3年度企画展 出雲のはにわたち 石屋古墳と平所遺跡」が開催されていました。
一番目立っていたのは見返りの鹿埴輪。「出雲と大和」展(2020年@東博)でも見ました。
松江市矢田町の平所(ひらどころ)遺跡埴輪窯跡からの出土品。
6世紀前半ころの”作品”となります。
目のふちには朱が塗られているそうです。
角だけの、部品もありました。
こちらの「馬埴輪」も平所遺跡から。
家形埴輪も出ています。
図録によれば、平所遺跡は現在は山陰自動車道の矢田ICとなっているあたりで、昭和50年から51年(1975~1976)にかけて発掘調査が行われ、標高10~20mのゆるい丘陵西側斜面に埴輪窯跡が、その東側上部には弥生後期の玉作工房跡や住居跡がみつかっています。
窯跡内には馬、鹿、猪、家、人物などの形象埴輪や円筒埴輪などの破片が隙間なく堆積していたそうですが、なぜこれらの埴輪が使用されなかったのかなどなぞが残っているそうです。
こちらは上記より古い、5世紀中~後葉の石屋古墳から出土した力士埴輪(のお尻)
前側から。
石屋古墳は昭和53年(1978)に発掘調査が行われ、一辺約40m、高さ7.5mの大きな方墳で、南北の辺に約9mの造り出しがあり、そこから馬埴輪や人物埴輪、椅子形埴輪が見つかりましたが、2011年の出土品再整理の際に力士埴輪が新たに発見されたとのこと。
こちらは、5世紀後葉~末葉の塚山古墳(松江市法吉市)出土の力士埴輪。
(手やまわしは復元ですよね)
5世紀末の島田1号墳(松江市東出雲町)からの人物埴輪と筒形器台。
美豆良をつけた埴輪男子です。こちらも「出雲と大和」展に出ています。
そのときの図録を読み返すと、古市古墳群の蕃上山古墳出土の人物埴輪・帽子を被った男子像(覡:かんなぎ~巫女と同様に祭祀を執る男性)と考えられ、両古墳はほぼ同時期と考えられることから埴輪工人の交流が想定されている、記されていました。
こちらは、6世紀後半の岩屋後古墳(松江市大草町)出土の人物埴輪群(実物は東博に)
クロスに襷をかける人物。
斜めに襷がけの人物。右の人物はグラマラス。
こちらは帽子をかぶっていると思われる男性。
多分ここまでが企画展だったのだと思います。
こちらは、公園内にある岡田山1号墳の出土品。
子持ち壺。
岡田山1号墳からは、武具や馬具の副葬品も。
「額田部臣」の銘が象嵌された大刀。
ちょっと読みとれないか。
山代二子塚古墳からの出土品も。
子持ち壺に器台がついてます。
団原古墳などからの子持ち壺。
展示を見た後は一旦外に。屋根上への階段を。
北方向。正面には茶臼山(山頂近くに団原古墳、西の裾に山代二子塚古墳が所在)
その手前、中央やや右に岡田山1号墳の後方部が見えています。
そこから右に目を移した北東方向。奥は中海です。
左に目を移した北西方向。奥は宍道湖になります。
(2021年10月上旬訪問)