市が尾の横穴墓を見に行った際、渋谷で途中下車して、建築家の白井晟一(しらいせいいち)に関する展覧会を、当人が設計した松涛美術館で鑑賞しました。
改めてみると、古墳的な香りも感じる建物正面です。
美術館の開館40周年の企画です。
2つの期間で内容が分かれていて12月12日までの第1部は、手掛けた建物の写真や模型、設計図などの展示でした。
1月4日からの第2部は「Back to 1981 建物公開」として、展示向けに壁面等が設置されている展示室を、建築家がイメージした当初の姿に近づけて公開するそうです。
1階ホールのみ撮影可。
こちらは実現しなかった「原爆堂計画」の50分の1モデル。
原爆堂は今は丸木美術館にある「原爆の図」を収めるために計画したものだそうです。右の建物から水面下の通路を通って中央の展示室の上がっていくもので、展示室で動画CGを見ることができました。
ノアビルの50分の1模型も。
ロシア大使館のそばで威容を誇っている建物です。
宗教施設ではなく賃貸オフィスビル。
模型を横から。
白井晟一(1905~1983)は京都で生まれ、京都高等工芸学校図案科卒業後に渡欧してドイツで哲学を学び、帰国後に義兄の画家・近藤浩一路の自邸の設計を任せられたことを契機に独学で建築家となった異色の経歴ですが、この松涛美術館やノアビルがそうであるように建物にも独特の存在感があるように思います。
初期に手掛けたヨーロッパ山小屋風の別荘や、大座敷や茶室のある和風建築、書店やアトリエ、寺院や教会など、さまざまな建物を手掛けていますが、石のモニュメントのような親和銀行本店や大波止支店が”異様”です。長崎県にある現存建物を見に行きたくなりました。
建築だけでなく、現在まで使用されている「中公新書」の書籍装丁も手掛けていて関連展示もあります。
一般1000円。事前の日時指定が必要です。