とっかかりは新聞の書評欄だったと思います。図書館で借りました。
読み始めでいきなり面食らったというのが正直なところでした。国書刊行会から発行された分厚い本ですが前半に数十の短編がこれでもかと続いていて途中で一時挫折。
下記はアマゾンの書評です。
『最高の任務』で第162回芥川賞候補となった現代文学の新星、乗代雄介がデビュー前から15年以上にわたって書き継いできたブログを著者自選・全面改稿のうえ書籍化。
総数約600編に及ぶ掌編創作群より67編を精選した『創作』、先人たちの言葉を供に、芸術と文学をめぐる思索の旅路を行く長編エッセイ『ワインディング・ノート』に書き下ろし小説『虫麻呂雑記』(140枚)を併録。
かなり後になってから知ったのですが上記にある、「デビュー前から15年以上にわたって書き継いできたブログ」というのがなんと、はてなブログでした。
(それを知ってから読者登録しています)
とうことで著者に敬称略はできない感覚があり、このような紹介をすることもためらわれるのですが、自分は後半に収録された「虫麻呂雑記」に惹き込まれたのでした。
それは小説の”ロケ地”が、マイナー(多分)なのに自分が訪ねた場所だったから。
ストーリーの始まりは千葉県市川市真間あたり。
上記の「真間の井」はある程度は知られた場所だと思いますが、水戸市の愛宕塚古墳のそばの坂にある虫麻呂の碑を訪ねた人はレアなのでは。(自分はたまたま碑を書き起こして高橋虫麻呂を知った通りすがりですが)
虫麻呂雑記が面白かったので、次にこちらの本も読んでみました。
「最高の任務」と「生き方の問題」の2作が収録されています。
後者の”ロケ地”も見覚えのある場所でした。足利市の機神山(はたがみやま)
あんなことをここで?という印象ですが…
そして「最高の任務」では、心を揺さぶれて涙腺が緩みました。
「旅する練習」は今年(2021年)1月の発刊。
この小説のスタート地点近く、我孫子の「鳥の博物館」も印象に残っていた場所でした。知っている場所が舞台であると、惹きこまれ度が高まります。
ロードムービーのようなストーリーなので、あのあたりの利根川沿いを歩いていったのだなあと想像しながら読みました。
白井市郷土資料館 上宿古墳 GW北総墳行① - 墳丘からの眺め
宝珠院観音堂、寺田本家、横利根閘門、大利根分館、岩屋古墳 - 墳丘からの眺め
今回の偶然なのですがちょうど「旅する練習」を読んでいた時に、下記の本も並行して読んでいました。(埴輪でも表現される鵜飼です)
「旅する練習」では鵜も準主役でしたので、「惹きこまれ度」がさらに高まりました。
そして、この本でも泣いてしまいました。(最高の任務とは違って意味で)
「最高の任務」と「旅する練習」は、両方読むのがおすすめです!