墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する」 梯 久美子著

これから何冊か、ロシア領サハリン島関連の本を紹介したいと思います。

サハリン島(樺太)になんとなく興味を持ったのは、2015年にワタリウムで見た石川直樹の写真ででした。

watari-um, 石川直樹 奈良美智 ここより北へ 展覧会 Naoki Ishikawa, Yoshitomo Nara

自然に還ろうとしているような鳥居の姿に惹かれました。

 

今回の本のタイトル「サガレン」は宮沢賢治によるこの島の呼び方で、賢治は妹トシを亡くした翌大正12年(1923)の夏、その魂を求めるように当時南半分が日本領であったこの島を鉄道で旅をして詩を創作したのだそう。また旅の終着点の”栄浜”現スタロドゥプスコエでは「銀河鉄道の夜」の着想を得たとも言われているとのこと。

北原白秋や林芙美子らも、この「陸の国境線」を見に旅したそうです。

本書は著者の梯(かけはし)氏が、かつての国境線の旅をなぞるように、鉄道旅(寝台列車も!)をするもので、言葉や写真からは透明感のある空気もリアルに伝わってきます。訪ねた先には日本の時代の廃墟も残り、時間を遡る旅のようにも感じられました。

バーチャルな旅が体験できるおすすめの一冊だと思います。