墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「前方後円墳とは何か」 広瀬和雄著

近年の発行で、前方後円墳をはじめとする古墳についての全容を、豊富な実例とともに素人にもわかりやすく解説された本がこちらになると思います(2019年12月発行)

 

 470頁の読み応えのあるボリュームですが、あとがきの言葉は読めば納得です。

都合のいい考古資料だけをつかった「つまみ食い」的な歴史的叙述を避けようと、できる限りの事例研究をあつかったので、思ったより分厚い著作になってしまった。

 

広瀬先生の案内で日本列島全体の前方後円墳を見ていくと、造られる場所には偏りがあり(偏在性)、造られた時期にも偏りがある(不連続の連続性~同じエリアに一斉に造られたり途絶えたり、築造が再開されたりする)という像が浮かび上がってきます。

 

その像から導かれることは、弥生時代を経て日本各地で首長が成長するとその力をあらわすために自発的に(中央の承諾を得て)前方後円墳を造営したというこれまでの通説が、実際には中央”政権”の意向がもっと色濃く反映されていたものだったという姿です。

(自分の理解範囲なので、この表現は正しくないかもしれません)

 

古墳はそれぞれに個別の魅力がありますが、全体の”在り方”で歴史の姿が見えてくる、という興奮が味わえました。

 

まだまだ未探訪のエリアが多数ありますので、コロナ禍が落ち着いたら行脚再開したいと思います!