墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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発掘された日本列島2021(その4) @江戸東京博物館・両国

前回のつづきです。

「新発見考古速報」コーナーでの出品遺跡は14か所でした。

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1:下原洞穴遺跡 鹿児島県天城町
2:デーノタメ遺跡 埼玉県北本市
3:下ヶ戸貝塚 千葉県我孫子市
4:四日市遺跡 大分県玖珠町
5:高崎競馬場遺跡 群馬県高崎市
6:史跡 午王山遺跡 埼玉県和光市
7:志布志湾沿岸地域の古墳群 鹿児島県肝付町・東串良町・大崎町・鹿屋市
8:牟田辺遺跡 佐賀県多久市
9:下河原崎高山古墳群 茨城県つくば市
10:薩摩遺跡 奈良県高取町
11:大南遺跡 山形県米沢市
12:畑間遺跡 愛知県東海市
13:京都新城跡・公家町遺跡 京都府京都市
14:平安京左京一条三坊三町 京都府京都市

もちろん、いつものように、古墳時代以外でも興味深い展示が多々ありました。

 

鹿児島県天城町(徳之島)の下原洞穴(したばるどうけつ)は、縄文時代草創期~貝塚時代前3期(約1万5000~4000年前)に遡る遺跡。

海岸から約500m離れた標高約90mにある鍾乳洞から約1万5000年前の隆起線文土器(本州最古段階の土器)がはじめて見つかり、奄美群島でも本州とほぼ同年代に土器の使用がはじまったことがわかったとのこと。

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美的センスの感じられる貝製の装飾品や鏃も。

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埼玉県北本市の「デーノタメ遺跡」(縄文時代中期~後期:約5000年~3800年前)は、縄文中期の竪穴住居が環状に並ぶ環状集落で、低湿地部の水場からは漆塗りの土器やクルミの殻・クルミ形土製品が出土。

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千葉県からは我孫子市の下ヶ戸(さげと)貝塚(縄文時代後期~晩期:約3500年~3000年前)が。

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22棟の竪穴建物が検出された下ヶ戸貝塚からは、469点もの土製耳飾りが出土。その8割が建物建物内から見つかったとのこと。

ほかにも土版や石剣、石棒、独鈷石、異形台付土器など祭祀にかかわる特殊な道具が豊富で、集落の居住の場を中心に様々な儀礼が行われていたようです。

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この、ミミズク土偶もそのひとつ。

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この、手のひらにちょうど収まりそうな「亀形土製品」も。

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異形台付き土器。後ろは注口土器。

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こちらも注口土器。注口がかなり上向いてます。

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弥生時代からは中期後半(約2000年前)の高崎競馬場遺跡。

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この「人形容器」が面白かったです。なんと「歯」が表現されています。

仮面のように見えましたが「容器」なのでしょうか。祭祀を行ったと思われる場所から出土したそうです。

耳にはピアス用の穴、頭にはヘッドバンドか帽子があって、今の若者風?

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山形県米沢市の大南遺跡は、室町~戦国時代。

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 玩具かと思われる、木製の馬が出土。

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当時の神仏習合の様子を示すという「僧形神立像」も。

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出土時の様子。

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室町後期の畑間遺跡(愛知県東海市) 

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銭がみっしり入った壺が出土。

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こんなものが出たら、考古学的価値以上の価値を考えてしまうかもですね。 

 

ほかにも興味深い展示がありました。7月4日まで江戸東京博物館で開催されていて、その後に2箇所を回ります。

苫小牧市美術博物館 令和3年7月31日~9月12日
群馬県立歴史博物館 令和3年10月9日~11月21日

「発掘された日本列島2021」展の開催のお知らせ | 文化庁

 

下記は、これまでに見た8回分(の一部)です。

発掘された日本列島2020 @江戸東京博物館・両国 - 墳丘からの眺め

発掘された日本列島2019展 @江戸東京博物館・両国 - 墳丘からの眺め

発掘された日本列島2018 @江戸東京博物館・両国 - 墳丘からの眺め

発掘された日本列島2017 @江戸東京博物館・両国 - 墳丘からの眺め

発掘された日本列島2016 縄文編 @江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

「発掘された日本列島 新発見考古速報 2015」展 @江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

「発掘された日本列島2014 日本発掘」① 国宝 合掌土偶 @両国 江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め

発掘された日本列島2013 @江戸東京博物館 - 墳丘からの眺め