発掘された日本列島展、今年は初日にうかがいました。
平成7年から開催されている展示で今年で27回目。 「国民が埋蔵文化財に親しみ,その保護の重要性に関する理解を深める」ことを目的に、毎年全国で約9千件実施されている発掘調査の出土品から特に注目されたものがピックアップされて全国数か所を巡回します。
「発掘された日本列島2021」展の開催のお知らせ | 文化庁
これまでは「新発見考古遺構の紹介」が主テーマでしたが、今年から「我がまちが誇る遺跡」も柱のひとつになっていました。
入ってすぐの展示は、”我がまち”テーマでの千葉県市原市の国分寺台遺跡群。
出土した縄文土器は、弥生時代から古墳時代にかけて築かれた墳墓200余基を有する諏訪台古墳群(200余基)の下部から出土。
諏訪台古墳群は7年前に訪ねましたが、縄文時代から人の暮らしがあった場所だったのですね。今も周りは住宅街。
諏訪台古墳群(上下諏訪神社) 持塚3号墳(国分寺台350号墳) 千葉県市原市 - 墳丘からの眺め
”我がまち”テーマでは、広島県福山市の古墳の紹介も。
瀬戸内海の交通の要衝で、横穴式石室の古墳がいくつも残っているそうです。
瀬戸内海の水運~びんごふくやま誕生ものがたり~
水陸交通の発展と近畿との結びつき(その1)
古墳時代中期以降、瀬戸内海の潮目の西側にある松永湾沿岸部には、全長50~70m規模の前方後円墳や導入期の横穴式石室をもつ円墳が出現します。これらの古墳は海に面して立地していることから、瀬戸内海交易の一翼を担い、湾岸を治めた首長たちの古墳と考えられます。
写真【松本古墳遠景】【葺石検出状況】
そのうちの、松本古墳、国成古墳からの出土品。
上記の埴輪片は径65mの円墳、松本古墳の出土品。
松本古墳(広島県史跡)は、松永湾を望む南北にのびる穏やかな丘陵の先端部に築かれた古墳です。以前は直径約45mの円墳あるいは北側に造出部をもつ帆立貝式古墳の可能性が考えられていましたが、近年の発掘調査によって南西部に造出部をもつ直径約65mの円墳であることが明らかになりました。
国成古墳とガラス玉。
国成古墳とガラス玉
古墳時代中期の直径約13mの円墳。昭和38年に発掘調査をおこない、河原石を敷いた埋葬施設を確認しました。副葬品として勾玉や玉類の他、珠文鏡(しゅもんきょう)や双孔円板(そうこうえんばん)、鉄刀などがみつかっています。
このうちガラス玉8点は、蛍光X線分析によって、4世紀~5世紀初め頃、東ローマ帝国領内で生産されたナトロンガラスであると推定されています。東ローマ帝国から東南アジアに運ばれた後、日本に流入した可能性が考えられます。
東ローマ帝国領内で生産されたガラス玉!
大型の横穴式石室も。探訪欲が湧きます。
6世紀末から7世紀初めごろ、芦田川中流域、のちの古代山陽道の近くに西日本における最終段階の前方後円墳である史跡二子塚古墳が築かれます。非常に大型の横穴式石室をもち、金銅製双龍環頭大刀把頭などの豪華な副葬品が出土しています。また、周辺には古墳時代終末期の横口式石槨をもつ古墳が4基みられます。どちらもヤマト王権からこの地が重要視されたことを示しています。
写真【二子塚古墳の横穴式石室】
その、二子塚古墳から出土した見事な柄頭。
東京展は、7月4日(日)までです。