今回の弘前旅の一番の目的地は、弘前れんが倉庫美術館でした。
JR弘前駅と弘前公園との中間くらい、弘南鉄道の中央弘前駅のそばにあります。
2020年7月にオープンしたばかりの美術館ですが、大正12年(カフェショップ棟の一部は明治40年)に建設された煉瓦倉庫・後の”シードル”製造所の建物が、建築家・田根剛によって生まれ変わっています。
建築 | 弘前れんが倉庫美術館 ー Hirosaki Museum of Contemporary
公式サイト↑の「建築の歴史と記憶」(写真を触ると説明文が出ます)に詳細あり。
妻側に新たに設けられたエントランスは大きく内側にすぼまるような形で、尋常でない厚さの壁にみえる。
室内から見ると、内側に張り出していることがわかる。
ちなみに、互い違いにする積み方は田根剛による独自の考案で「弘前積みレンガ工法」と名付けらている。
エントランスには奈良美智の「A to Z Memorial Dog」
美術館となる前の煉瓦倉庫にて、地元弘前出身の奈良氏の展覧会が3回開催されていて、本作品は3度目の平成18年(2006)に制作され、屋外の緑地に常設されていたとのこと。
展示を見る前に外観を一回り。
右が美術館棟、左がカフェ・ショップ棟。
煉瓦的小径空間を満喫できます。
美術館棟の逆サイドも、奥にL字型建物が伸びていて、煉瓦的広場空間を味わえる。
上記の後ろ側は一般道路だが、広大な煉瓦壁を目前で楽しめる。
展示室では、雨宮庸介、ケリス・ウィン・エヴァンス、河口龍夫、タカノ綾、和田礼治郎、ジャン=ミシェル・オトニエル、笹本晃、潘逸舟(ハン・イシュ)の8作家による「りんご宇宙~Apple Cycle / Cosmic Seed」という、2021年度春夏プログラムが始まったばかりだった。
りんご宇宙 — Apple Cycle / Cosmic Seed | 弘前れんが倉庫美術館 ー Hirosaki Museum of Contemporary Art
観覧料は一般1300円。本展は2021年8月29日まで。
展示室に入る前にも、オトニエルの作品。
自動ドアの先の小部屋には趣のある煉瓦壁と、行き止まりの鉄階段があった。
展示室は複数あるが、最大のものは屋根までの大空間を生かしたもの。
展示室を出た先の、2階の空間。
昔の教室のようなスタッフルームの壁。
奥にはライブラリー。手触りの優れた木の椅子がありました。
こちらはカフェ・ショップ棟の室内。
カウンターの後ろはシードル醸造のタンク。特別な空間でおいしいシードルをいただけます。
外へ出ると、日差しがありました。
建物を特徴づける「シードル・ゴールド」の菱葺屋根は、建物の記憶を次世代につなげるために着想されたそうで、厚さ0.3m・45cm角のチタン材が約1万3千枚使われています。
日差しのおかげで金の輝きを目にすることができました。
泊まったホテルの朝食会場から見えた「シードル・ゴールド」
この時点では小雨でしたが、街中で目立っていました。
弘前れんが倉庫美術館の建物のことは3年前、建築家の「田根 剛 未来の記憶」展で知り、完成したら訪ねたいと思っていました。
旧建物の煉瓦壁に直径9㎜の鉄芯を通し、耐震化しての再利用を実現している、ことを示していたモデル。
会場には、実際に鉄芯を通した煉瓦壁の一部も。
リニューアル前の建物の姿。
もうひとつの展示会場では、 シードル・ゴールドの屋根材のデザイン過程も見ていました。