墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

画像が出ない場合はPCで、クロームOSでお試しください。

三昧塚古墳(再訪) 茨城県行方市沖洲

前回のつづき。

三昧塚(さんまいづか)古墳を訪ねるのは7年ぶり。

 

国道355号沿い、駐車場も完備された”農村公園”として整備されていて、とても見学しやすい古墳。

 

駐車場には立体モデルも置かれている。

三昧塚古墳保存整備

歴史文化遺産である三昧塚古墳を後世に伝えるため、築造当時の姿に復元することを基本とし、明治大学考古学研究室協力の下、平成16年度~17年度に事業を実施した。

現況墳丘には、保存用のネットを張り、水平扇状に版築盛土を繰り返し行い整形復元した。この時、現存部分周囲は人力で、欠損部分は機械で施工した。

墳丘表面は、芝により保護及び仕上げを行った。

後円部墳頂には、昭和30年に発見された埋葬主体部の状況図を白磁陶板により表現して、見学用通路として石段を設置した。

復元整備した墳丘の規模は、基段を含む全長88.2m、後円部径52.3m、前方部幅46.6mm後円部高8.0m、前方部高7.0mとした。段築は、後円部2段、前方部1段とし、基底面には基段を設けた。

傾斜は、後円部1段目1:1.75(約29.8°)、2段目1:2(約26.6°)、前方部1:1.5(約33.7°p)とした。

行方市教育委員会 平成18年3月

 

美しい形に復元された。

 

 

隣にあった解説板。

行方市指定文化財(史跡)

三昧塚古墳

所在地:行方市沖洲477-1ほか

指定年月日:平成2年8月23日

三昧塚古墳は、鎌田川流域の沖積低地に築かれた、全長85m、後円部径47m、前方部幅36.5m、後円部高さ8m、前方部高さ6mの規模を持つ(現在の墳丘は半分以上削平)、5世紀後半に築造された前方後円墳である。

昭和30年、築堤用の土砂採取工事により、古墳の一部が壊されたことをきっかけとして緊急の発掘調査が実施された。墳丘には、円筒埴輪が三重にめぐり、後円部の中心には、墳頂下2.7mに箱式石棺が置かれ、伸展葬の形で遺骸が埋葬されていた。副葬品としては、金銅製馬形飾付冠・金銅製垂飾付耳飾・変形四神四獣鏡等があり、ほかにも竹櫛・玉類・剣・戟(げき)・甲冑(短甲)・円筒埴輪・形象埴輪(人物・鹿・牛・犬)などが出土している。

また、三昧塚古墳保存整備基本計画及び史跡公園の整備に先立ち、古墳の規模、墳丘の構造、周溝の規模など基礎的な資料を得るため、明治大学考古学研究室の協力の下、三昧塚古墳の第二次、第三次発掘調査も実施されている。

勅使塚古墳の出現によって幕を開けた当地域の古墳文化は、三昧塚古墳・権現山古墳、そして大日塚古墳と築かれ沖洲古墳群が形成されていった。なかでも霞ヶ浦沿岸地域では群を抜いた規模と豊富な副葬品を持つ三昧塚古墳は、当時の古墳文化を考察する上で重要な遺跡となっている。

平成24年3月 行方市教育委員会

 

 すぐ後ろに墳丘。

 

 

パノラマで。

 

後円部裾に近づいて。

 

見上げる後円部。

 

鞍部のカーブ。

 

後円部先端側と、道路と反対側のくびれ部に見学用階段がある。

 

階段以外の上り下りは禁止

 

後円部墳頂には主体部の解説図がある。

 

東西軸に箱式石棺が。

並行して、副葬品だけが納められた埋納箇所が発見された。

 

その解説文。

三昧塚古墳埋葬主体部状況図
組合式箱形石棺 石棺内寸法 長さ196㎝・幅約56㎝・深さ約35㎝
これは昭和30年に、後円部頂上から約2.7m掘り下げたところで発見された石棺と副葬品の出土状況図である。
石棺の中には、馬形飾のついた冠をかぶり、玉類を身につけた一体の成年男子が埋葬されていた。体の両脇には大刀と剣がおかれ、頭の上と足元には鏡や挂甲(鉄板を綴じ合わせたよろい)等の遺物がまとめて置かれていた。
石棺の蓋には縄掛けのための突起があり、近畿地方の大型古墳に採用された長持形石棺との関係が推測される。また刺突具である戟は、この蓋の上に置かれたものである。
石棺の北側にならんだ馬具や甲冑等の多くの遺物は、板か木箱に置かれたものだと推測される。これは遺物埋納用の施設である。
三昧塚古墳は西暦5世紀末に築造された大型の前方後円墳である。豪華な副葬品とともにここに眠る人物は、近畿地方の勢力と強い絆をもちながら、霞ヶ浦の水運を掌握し、行方地域を制した大首長であろうと考えられる。
行方市教育委員会 平成18年3月 

 

振り向くとすぐ先に霞ヶ浦。南方向。

 

長軸は北西ー南東方向。左奥は筑波山。

 

中心軸上から前方部を。

 

鞍部から見上げる前方部。

 

前方部の端から振り返って。

 

縦位置で。

 

前方部の国道側の裾。

 

前回訪問時は緑の5月だった。

f:id:massneko:20130506122420j:plain

https://massneko.hatenablog.com/entry/2013/05/07/094329