8月25日の日曜日の午後、千葉県市原市の湖畔美術館へ。
たまたま知った「ロシア映画上映会」に参加でき、開催中の展覧会もギャラリートークがあって充実した時間を過ごすことができました。
公式サイトによれば本展では、ロシア現代アートの先端的な作品を通じて「ロシア文化がいかに宇宙的なものを追求してきたか」という歴史と現在を示すと同時に、人類における宇宙の意味について問いかけ、その応答を試みる、とありました。
http://lsm-ichihara.jp/exhibition/
レオニート・チシコフ、ウラジーミル・ナセトキン、ニキータ・アレクセーエフらの6名のロシア現代アーティストが出品。
エントランスには、レオニート・チシコフによる「祖先の訪問のための手編みの宇宙ロケット」
編み物のロケットですが、作家チシコフの故郷ウラルでは亡くなった身内の服を裂いた紐をマットに編み上げて残すことで、その人たちを偲ぶという習慣があるそうです。編み上げられたロケットは祖先とともに宇宙へ行くというイメージが形になっています。
こちらの素描と立体もレオニート・チシコフの作品。パスタやパンという身近な素材で宇宙ステーションなどが表現されていました。
奥の壁の「芭蕉の月」は次の芭蕉の句が源になっているそうです。
木を切りて 本口見るや 今日の月
5年前に「いちはらアート×ミックス」で見たもの。
こちらもチシコフによる「月の訪れ」
椅子に座ってメッセージを書くことができます。
2017年のアート×ミックスで 「種田山頭火の月」が展示されていました。
チシコフの作品は、現在、瀬戸内国際芸術祭2019でも沙弥島(しゃみじま)に展示されているようです。
https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/shamijima/279.html
ホール室では 、アレクサンドル・ポノマリョフによる動画「ナルシス」
水を張った床に通路が設けられ、そこから4つの動画を見ます。北極や南極を行く船の先端から水面を移したもの。ずっと見ていたくなる映像でした。
美術館の外には、ウラジーミル・ナセトキンによる「空を見よ、自分を見よ」
屋根の無い建物で、石が敷かれた通路を通り抜ける。
床に鏡が置かれた部屋は入口が狭すぎて入れない。
隣の展望台から見てもよし。
高さ28mの藤原式揚水機を模した展望塔(階段で上ります。無料)
美術館建物もよくわかります。
反対側には高滝湖。 湖上に、いくつかの常設作品が見えている。
こちらも常設の彫刻作品。
階段の途中から。
映画イベントは、当展覧会のゲストキュレーター・鴻野わか菜氏のナビゲートでみっちり90分。
三部構成で第一部は、ワシーリー・ジュラヴリョフ監督「宇宙飛行」(1935年)の部分鑑賞。第三部にロシア現代アートの宇宙の短編フィルムがいくつかありましたが、自分は第二部のレオニート・チシコフ(Леонид Тишков)の世界に惹かれました。
特に2003年から取り組んでいる「僕の月(ЧАСТНАЯ ЛУНА)」プロジェクトの紹介映像に。
都会の中庭やベランダから極地の湖畔まで世界のさまざまな場所へ、発光する三日月のオブジェを持って行って風景とともに撮影するプロジェクト。作品だけでなくメイキング映像も大変興味深かったです。
http://lsm-ichihara.jp/russia_movie_0825
チシコフをカタカナで検索しても作品自体はあまりヒットしませんが、ロシア語で検索すると画像や動画を見ることができます。
モスクワの美術館のサイト
http://mamm-mdf.ru/exhibitions/private-moon/
youtubeの動画も。
https://www.youtube.com/watch?v=mZPqKiJQRCg
展覧会は10月27日まで。一般800円。おすすめです。
前庭にあるPIZZERIA BOSSOで地元食材を載せたピザをいただきましたが美味でした。
9月28日には「ロシアデイ」も開催されます。