墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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康楽館 秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字松ノ下

康楽館(こうらくかん)は、明治43年(1910)に小坂鉱山の厚生施設として建てられた芝居小屋。

昭和54年から61年までの間は休止していたが現在も定期公演が行われていて、移築や復元がされていない現役の和洋折衷の木造芝居小屋としては日本最古になるそう。

 

正面はアメリカ木造ゴシック風で、上げ下げ式窓と鋸歯状の軒飾りが並ぶ。

 

建物が面する通り(明治百年通り)には康楽館の幟旗が賑やかに並ぶ(突き当りの右が小坂レールパーク)

 

切妻造妻入りの木造二階建て。屋根は銅板葺(当初は杉板葺)で正面幅約28m・奥行約38m。小坂鉱山を経営していた合名会社藤田組によって建てられ、設計者は小坂鉱山工作課営繕掛長の山本辰之助とされるそうだ(Wikipedia「康楽館」の項より)

 

側面は押縁下見張の純日本風。内装に桟敷、花道、切穴などがある典型的な和風芝居小屋の内装で、和洋折衷の造りが特徴とのこと(公式サイトより)

http://kosaka-mco.com/publics/index/51/

 

当初は建物見学だけと思っていたが、「下町かぶき組 新月海斗 熱情公演」の開催日で、公演を見たいという妻の希望があり当日券を購入。

大人一人2100円だが「小坂町内宿泊プラン」というものがあって、町内宿泊施設に泊まると料金が半額になる観光施設があり、康楽館の芝居鑑賞にも適用される。

小坂レールパークでいただいた券を提示すると2人で2100円、つまり2100円の割引になり、非常なお得感があった。

 

公演は10時半から13時で、第一部に芝居、第二部が演舞という構成。

公演前に黒子さんによる館内案内ツアーがあったので参加した。

最初に向かったのは楽屋。


壁には、明治時代からの役者の落書きが残されていて、平幹二朗、仲代達矢、東野英二郎、滝田祐介らのものもわかるそう。


このような大部屋の楽屋が一階に2部屋、2階に個室が5部屋あるとのこと。

 

次は階段を下りて、舞台真下の「奈落」へ。 
康楽館には直径10m近い回り舞台(日本最大級)があり現役で活躍している。

 

写真がぶれてしまったが、左の縦棒に肩をあてて壁の石垣も蹴りながら4人で回すそうだ。活躍しているのは黒子たちだった。

 

ここも地下の続き、ちょうど花道の真下。花道の七三(しちさん)にある役者をせり上げる切穴(すっぽん)という装置で、天井側についている板の部分が上下する。

 
両側のロープを2人で操作する、滑車を使った人力のエレベータ。これもほぼ毎日使われているそうだ。引くに合わせて、ぐいっぐいっと頭が出る様子が「すっぽん」に似ていることから付いた名と伺った。

 

次は二階の客席から。客席には607人が入る。
左に舞台から延びているのが本花道、右にも仮花道があって江戸時代の芝居小屋の典型的な様式が取り入れられている。

 

天井は洋風の板張り、明治時代の電灯(チューリップ型)も使われている。

明治43年の康楽館創建時、小坂鉱山には既に水力発電所(日本で2番目)があって当初から電灯が設置されていたが、電気が無かった当時の東北では大変珍しかったそうだ。

 

舞台正面の二階には「向う桟敷」が段々に並ぶ。

 

最後列の「大向う」は、”優れた鑑賞力を持つ人が役者の屋号を呼ぶために陣取る席”。

壁には英語の解説も。

Oomuko(The Back Seat)
Patrons who deeply love and greatly appreciate kabuki mainly sit in the oomuko.
And from here they shout out their words of praise. With words like 'nihon-ichi'(best in Japan) and 'Mattemashita'(I've been waiting for you), they praise the stage performers.

 

大向うから見た舞台。

 

舞台はとても面白く、あっという間の2時間半でした。前半は時代もの人情芝居、後半が舞踊ショーで、舞踊は撮影可。役者さんが立つあたりが切穴(すっぽん)

 

「常打芝居」は4月中旬から11下旬までほぼ連日開催、月ごとに劇団・座長が変わり、7月には松竹大歌舞伎の開催もあります。

 

回り舞台も、すっぽんも、ショーの中で楽しめました。

幕間の蕎麦も、おいしゅうございました。

小坂町へ行かれる際は、ぜひ観覧をおすすめします。