前回に続いて展覧会情報を。
モイズ・キスリング(1891~1953)は1920~30年代のパリで「モンパルナスのプリンス」と呼ばれたエコール・ド・パリの画家。
エコール・ド・パリは1920年代を中心にパリのモンマルトルやモンパルナスで活動した出身国も画風もさまざまな画家たちの総称(Wikipedia)
その画家たちにはモディリアーニ、シャガール、スーティン、パスキン、ユトリロ、そして藤田嗣治も数えられており、本展ではキスリングと藤田が並ぶ写真も展示されています。
約60点に及ぶ本展は、その多くが肖像や花などを描いた中型の油彩で、非常に見ごたえがありました。
展覧会ポスターは黄色の地に赤い文字ですが、キスリングの絵は色彩豊かで、派手な地の色にも勝る華やかさ。
公式サイトによると、画家はポーランドのクラクフに生まれて美術学校に学び、卒業後にパリでピカソやブラックと出会いキュビスムの影響も受けたものの、その後イタリアやフランドルの古典的絵画を学んで肖像画などで独自のスタイルを発展させたとのこと。
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190420-0707_kisling.html#highlight
展示室には東京都庭園美術館の旧館・新館の両方が使われていますが、旧館のアール・デコと調和していて、ちょうど一世紀前の世界の空気に触れることもできたように思います。
肖像画では豊かな色彩とともに表情、特にキャンバスに直接メイクしたようなアイラインが印象に残りました。
視線が合わないように描かれているのに、その目ぢからに、こちらの存在が意識されているような…
前出の公式サイトには、第一次大戦で兵士となって負傷したり、第二次大戦でユダヤ人であったためアメリカへ逃れたりがありつつも、社交的で人望があり面倒見が良くて家族や友人に恵まれ、絵の制作依頼も途絶えることなく最後まで絵を描き続け、画家として幸せな人生を歩んだとあります。
その幸せが絵を見るこちらにも伝わってくるように感じました。
おすすめの展覧会だと思います。
観覧料一般1100円。ぐるっとパスで入場できます。
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190420-0707_kisling.html#works