墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

画像が出ない場合はPCで、クロームOSでお試しください。

「洞窟絵画を旅して ヒトの絵画の四万年」 布施英利著

 こちらの本を読んで、とても面白かったので。

洞窟壁画を旅して ヒトの絵画の四万年

洞窟壁画を旅して ヒトの絵画の四万年

 

 

著者の布施英利氏は1960年生まれ、東京芸大で美術解剖学を専攻された美術批評家・解剖学者。

著者が大学生の息子さんと、2017年夏に南仏のショーベやラスコーなど4万年前の洞窟絵画を中心に探訪した旅と思索の記録となっています。

まるで自分がレンタカーを運転し、宿やレストランを探し、本命の洞窟の現地予約でドキドキしながら旅をしている気分になりながら、美術史や解剖学を学んだ著者ならではの視点に眼を開かされました。

特に、時代を超えたホモサピエンスの共通性、我々は4万年を経ていてもほとんで変わっていない、ということの根拠となりえるポイントとして、いくつも提示されたところは大変共感しました。

 

旅の始まりと終わりは日本の古墳という設定ということもあって、思わず引き込まれてしまいました。

古墳ファンや考古学ファンはもちろん、美術好き、旅行好きの方にぜひともおすすめします。

 

実は今から20数年前の1990年代半ば、スペイン北部を車で回ったときに、アルタミラ洞窟を見学した経験があります。

旅程で一泊した現地の村では2年前から予約で一杯と言われましたが当日キャンセル待ちもあると聞き、翌朝暗いうちに並んだら妻と自分で7番目。その日に入れたのはそこまででした。

洞窟を入って100mほどゆるく降りると高さ2m程、広さ何十畳かのホールのような闇の空間が広がり、天井部分に光をあてると1万8000年前に描かれた何頭ものバイソンが浮かび上がりました。岩の凹凸を活かしつつ黒や赤の色が塗られた姿は動き出しそうな描写力で、大変驚き、深く感動しました。

今では保存のために閉鎖されているので(レプリカ展示施設あり)本当に貴重な体験となりました。

 

2年前に上野でラスコー展を見た時も、そのことを思い出しましたが、今回この本では旅の様子がロードムービーのように書かれツイッターの写真も掲載されているので、自分のかつての旅の記憶もつられて、よりはっきり蘇ったように思えます。

 

大学生の息子さんと巡っているのもいい感じ。

いつか自分も、今度はこの南仏ルートをオヤコで巡ってみたいです。